祇園祭ゆかりの伝統菓子、柏屋光貞の「行者餅」。販売は年に1日のみ

「行者餅(ぎょうじゃもち)」は、祇園祭にゆかりある無病息災の和菓子。約200年前に誕生したとされ、現在は京都の「柏屋光貞(かしわやみつさだ)」にて、7月16日の1日限定で販売されている。

行者餅の由来

行者餅の由来は、1806年に柏屋光貞の初代が山伏としての修行中、お告げに従って菓子を作り、役行者山(えんのぎょうじゃやま)に供え、知人にも分け与えたところ、皆が疫病を免れた。以来、無病息災の霊菓として喜ばれたとの伝承による。

それから200年以上経った今も、行者餅の材料や形は、当時と変わっていないそう。柏屋光貞では現在、毎年7月16日の1日限定で行者餅を販売している。

行者餅はどんなお菓子?

行者餅は、鉄板で焼いたクレープ状の薄い生地で、粉の山椒を入れた白味噌あんと座布団のような四角の求肥餅を包んだもの。白味噌あんの甘じょっぱさに山椒がきいていて、パンチのある味わいだ。

和菓子に山椒が使われるのは珍しい気もするが、6月後半頃からは、ちょうど山椒の実の収穫期。祇園祭が7月に催行されるためと夏の発汗を促す旬の食材ということだ。

柏屋光貞の中川さんは「生地をくるんと四角く包んだ形状は、行者が山に登る時に着る、麻でできた法衣『篠懸(すずかけ)』がモチーフ。生地にはうっすら焼き色が付いており、それにより麻の色を表現しています。

行者餅は、信仰心、旬の食材、その土地の環境すべてが結びついて生まれた菓子といえるでしょう」と教えてくれた。

行者餅ができるまで

柏屋光貞の中川さんによると、行者餅作りは、中川さん自ら修験道の道場である奈良の大峯山(おおみねざん)に登り、諸行事の無事を祈願することに始まる。

その後、京都の修験道本山派「聖護院門跡」から高僧を店に招いて工場(こうば)をお清めし、6月から仕込みを開始する。

近年は順序を変えており、工場を清めて仕込みを開始。祇園祭が終わった8月に、祭りが無事に終わった感謝を伝えに大峯山へお参りすることにしているそう。順序を変えたとしても、大峯山へのお参りや聖護院門跡による工場のお清めは、毎年欠かさず行っている。

行者餅が販売されるのは、7月16日のみ。にも関わらず、6月から仕込みを始めるのには理由がある。

一つは、行者餅に使用する白味噌あんを寝かすことで、白味噌の塩味やあんこの甘さがなじみ、まろやかな味わいに仕上がる。

他には、鉄板の準備期間も必要。行者餅の生地は小麦粉、砂糖、水だけでできているため、鉄板にくっつきやすい。そこで鉄板に油をひくのだが、やみくもにひいただけでは効果がなく、鉄板を良い状態に整えるのは至難の業。鉄板の準備にも、ある程度の日数が必要なのだそう。 行者餅はシンプルに見えて、実は手間暇かけて丁寧に手作りされているからだ。

行者餅の販売日、値段、予約可否など

行者餅は柏屋光貞にて7月16日のみ販売。3個入1,350円、5個入り2,250円、10個入り 4,500円。

予約は受け付けておらず、店頭販売のみ。毎年行列ができるので、気になる方は早めに行くことをおすすめする。ただし、なくなり次第終了。行者餅は本来、役行者山にお供えする菓子。数量限定で購入できない場合があるため、あらかじめご了承を。

柏屋光貞では、干菓子や半生菓子も販売している。いずれもシンプルで、素材のおいしさがいきている。それらもぜひ味わいたい。

柏屋光貞の基本情報(営業時間、アクセスなど)

スポット名柏屋光貞(かしわやみつさだ)
営業時間10:00〜18:00
定休日日曜・祝日 ※不定休あり。
問い合わせ先075ー561ー2263
アクセス阪急京都河原町駅下車 約14分、または阪急京都河原町駅→市バス・東山安井停下車すぐ
住所京都市東山区安井毘沙門町33-2【MAP】

柏屋光貞周辺の観光・ランチ・カフェ情報

柏屋光貞は、京都の繁華街・祇園にもほど近い。周辺には八坂神社をはじめ、魅力的な飲食店やカフェも多数ある。おすすめスポットをチェックして、スムーズに散策しよう!

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この記事を書いたのは… TOKK編集部I

甘いものが大好きなTOKK編集部 I

京都在住。休日の過ごし方はもっぱら京都のまち歩き。美術館や社寺、お笑いライブがとくに好き。花より団子。

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