京都「八坂神社」の見どころやご利益を紹介。縁結びや美麗祈願の末社も

日本三大祭のひとつ「祇園祭」で全国に知られる八坂神社。花街・祇園や河原町などの繁華街からも近く、京都観光の定番スポットだ。近年は外国人の人気も集めている。国宝の本殿など見応えのある建物も多数。女性にうれしい神様もおられる。そんな八坂坂神社には、どんな魅力や楽しみ方があるのか。権禰宜(ごんねぎ)の福本翔一郎さんにお話を聞いてみた。

今回取材にご協力くださったのは… 八坂神社 権禰宜の福本翔一郎さん

八坂神社 福本さん

八坂神社の歴史とご利益

八坂神社の歴史ははっきりしていない。社伝によると、7世紀の斉明天皇(天智天皇・天武天皇の母)の時代に渡来人が素戔嗚尊(スサノオノミコト)をお祀りしたのが始まりとする説と、奈良時代の終わり(876年)に奈良の僧がお堂を建てたのが起源となった説の2つがある。

八坂神社 西楼門

いずれにしろ、1000年を優に超える古い神社なのだが、意外なことに八坂神社という名称になったのは明治からなのだという。神仏分離令が出るまでは、「祇園社」「祇園感神院」などと呼ばれていた。「花街として知られる祇園の名も、祇園社の門前町として栄えたことことから来ています」(福本さん)とのこと。

八坂神社 本殿

御祭神は素戔嗚尊と櫛稲田姫命(クシナダヒメ。素戔嗚尊の妻)、そして2人の子どもたちで、なかでも素戔嗚尊は力強い神様として知られる。御祭神のお力にあやかり八坂神社は都の役病を封じる役を担うようになり、そこから厄災除去、病気平癒の神様として信仰されるようになった。

また、素戔嗚尊と櫛稲田姫命は八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治して夫婦となったことから、古来より縁結びの神としても篤く信仰されてきた。

八坂神社の見どころ

唯一無二の建築様式を持つ「国宝・本殿」

京都の中心部に近いこともあり、八坂神社は何度も火災にあっている。檜皮葺(ひわだぶ)きの本殿も、徳川4代将軍・家綱により1654年に再建されたもの。しかし、独自の「祇園造」は古来より継承され、2020年には本殿が国宝に指定された。

八坂神社 本殿

祇園造は、本殿と拝殿をひとつの屋根で覆う、他に類を見ない建築様式。大きな屋根の庇(ひさし)のさらに外側にも「又庇」が伸びている。記録では平安後期には、ほとんど現在に近い形だったといわれている。

八坂神社 本殿

現在の本殿は高さ約15m、建物面積は約660㎡で神社の本殿としては最大規模。「神様が鎮座する空間を中心として、周囲をいくつもの部屋が取り囲んでいるのも他にはありません」と福本さん。お祓いなどで本殿の中に入る機会があれば、内部の複雑な構造にも目を向けるといいだろう。

八坂神社 本殿

ちなみに、京都は「四神相応の地」と呼ばれ、東西南北を4つの神が守ると信じられてきた。その東を守るのが「青龍」で、平安京の東に当たる八坂神社の本殿の下には「龍が棲む池=龍穴」があるという。

八坂神社 青龍モチーフ

まさに八坂神社の本殿はパワースポット。八坂神社が「都の東の守り神」であることは、ぜひ知っておきたい(写真は西楼門近くにある獅子像台座に描かれた青龍)。

いずれも重要文化財 楼門と鳥居、舞殿

八坂神社のなかでも有名な建物といえば、何といっても西楼門(重要文化財)だろう。四条通の突き当たりにあり、石段の下からは多くの人がカメラを構え写真におさめている。

八坂神社 西楼門

実は、境内の中で最も古い建造物がこの西楼門。応仁の乱の後1497年に再建されたもので、屋根の形状は切妻造、高さは約9mもある。朱色が鮮やかなのは、平成に入り修理が施されたからだ。古くは夜叉門(やしゃもん)、籠門(かごもん)とも呼ばれていた。

祇園

こちらの写真は、西楼門から見た祇園のまち並み。両側に広がる商業地も、かつては八坂神社の境内だった、と聞いたら多くの人は驚くだろう。八坂神社の東に広がる円山公園もそうで、明治の神仏分離令などの影響で手放したのだという。四条通は八坂神社のかつての参道にあたり、過去には、京都河原町駅近くの髙島屋のあたりに「一の鳥居」もあった。

そのような経緯もあって、八坂神社といえば西楼門が正門だと思われがちだが、正しくは南楼門が八坂神社の正門である。

八坂神社 南楼門

南楼門は明治時代に入ってから再建されたもので、比較的新しい建物だが、西楼門と同様に重要文化財に指定されている。

八坂神社 南楼門

その南楼門の前にあるのが石鳥居で、自然石でつくられた鳥居としては最大級。1646年に建てられたもので、やはりこちらも重要文化財。祇園祭の神輿渡御が南楼門・石鳥居を通って行われるのも、このルートが正門だからである。

八坂神社 舞殿

こちらは舞殿(ぶでん。重要文化財)といい、明治になって再建された建物。祇園祭の際に神輿が置かれるほか、結婚式や奉納舞楽などに利用される。

目を引くのは周囲につるされた提灯だろう。提灯には、祇園のお茶屋や飲食店などの名前が書かれている。実はこの舞殿以外にも境内には100基以上の提灯が奉納されており、夜になると明かりが灯される。「夜の八坂神社はおすすめです。幻想的な雰囲気を楽しんでください」と福本さんは話す。

八坂神社 祇園水の自動販売機

余談だが、南楼門近くの手水舎の先でこんな自動販売機を見つけた。売られているのは「祇園水」。御祭神である素戔嗚尊は海を治める神でもあり、それにちなみ、海洋深層水から独自技術で塩分を除きつくられたのがこのミネラルウォーター。八坂神社の御神水ではないものの、旅の土産話に1本いかがだろう。

様々なご利益がある八坂神社の末社と摂社

八坂神社には注目したい、お参りしたい摂社や末社がいくつもある。その一部を紹介しよう。

八坂神社 大国主社

まずは末社の「大国主社(おおくにぬししゃ)」。お守りなど授与品が売られている社務所の前に鎮座する小さなお社だが、多くの人が良縁を祈願している姿を見ることができる。

御祭神は、素戔嗚尊の子孫にあたる大国主神(おおくにぬしのかみ)で、彼は意地悪な神様にだまされた白兎を助けたことで知られる。その優しい心で美しい姫(八神姫)のハートを射とめた。

八坂神社 因幡の白兎

鳥居の横には、この因幡の白兎神話をモチーフにした石像が置かれている。

八坂神社 美御前社

八坂神社の末社であり重要文化財に指定されている「美御前社(うつくしごぜんしゃ)」は、名前のとおり「美の神様」として信仰されている。素戔嗚尊の剣から生まれた3人の女神が祀られており、彼女たちは容姿端麗、美を司るとされている。

八坂神社 美容水

ここをお参りしたら、忘れずに「美容水」を肌につけよう。美容水は社殿前から湧き出る御神水で、数滴つけるだけで身も心も清く、美しくなるといわれる。

八坂神社 厳島社

美麗を祈願するのなら、末社の「厳島社(いつくしましゃ)」にもお参りしたい。こちらは、美御前社に祀られている3人の女神のなかでも、とりわけ美しい市杵島比売命(いちきしまひめのみこと)が御祭神。

古くから祇園の舞妓・芸妓たちからも信仰され、彼女たちの名前の書かれた玉垣(木や石でできた柵)がお社の周りを囲っている。舞踊など芸能の神様としても知られる。

八坂神社 疫神社

最後に紹介したいのが「疫神社(えきじんじゃ)」(重要文化財)だ。こちらは蘇民将来(そみんしょうらい)を祀る摂社。

蘇民将来は旅をしていた素戔嗚尊を貧しいながらももてなした人物で、感激した素戔嗚尊は、疫病がはやっても「蘇民将来の子孫なり」と言えば疫病から免れると約束したと伝わる(『備後国風土記』より)。祇園祭で授与される粽(ちまき)に「蘇民将来子孫也」という護符が貼られているのは、この伝説に由来する。

八坂神社に参拝したら、これらの末社や摂社にもあわせてお参りしたい。

八坂神社の四季

四季それぞれの美しさにであえるのも八坂神社の特長である。

写真ACからDL 

春は桜。桜といえば、八坂神社からほど近い円山公園の枝垂れ桜が有名だが、八坂神社も負けていない。「とくに南楼門の側にある桜がおすすめで、ソメイヨシノ、八重桜、山桜と種類もいくつかあり、花咲く時期も異なるので長い期間楽しめます」と福本さん。境内を散策しながらお花見するのも楽しいだろう。

初夏からは新緑やサツキ、秋は紅葉も美しい。

写真ACからDL 八坂神社

そして冬は、雪の季節。雪が積もった八坂神社境内も趣があって美しく、雪の白に西楼門の朱が映えて絶景を織りなす。参拝の際には、四季折々の美しい景色も楽しみたい。

八坂神社の祭事「祇園祭」

祇園祭の起源とは

八坂神社の祭事といえば、有名なのが祇園祭。京の都で疫病が流行していた869年、平安京の大庭園だった「神泉苑」に当時の国の数66カ国と同じ66本の矛(ほこ)を立て、祇園社(現在の八坂神社)から神輿を迎えて災難厄除を祈願した「御霊会(ごりょうえ)」が祇園祭の発祥とされる。

いまのような山鉾がつくられ始めたのは室町時代からで、応仁の乱(1467~1477年)により祇園祭が中断となっていた時期を経て、その後は豪華になっていく。なかには美術品としても通用するくらいの装飾を施す山鉾も現れるように。

巡行に参加する山鉾の数は、前祭(7月17日)と後祭(7月24日)をあわせて現在34基。2022年には、長らく休山だった鷹山(たかやま)が196年ぶりに復活し、大きな話題を呼んだことも記憶に新しい。

祇園祭では1か月にわたり様々な神事が行われる

1カ月にわたり様々な神事が行われる祇園祭では、特に前祭(さきまつり)、後祭(あとまつり)の山鉾巡行が注目を集めるが、もっとも重要なのは神輿渡御(みこしとぎょ)。山鉾は本来疫病神を鎮めるための依(よ)り代(しろ)であり、山鉾巡行には疫病神を集め、神輿渡御に先立って都大路を清めるという露払いの意味合いがある。その後、八坂神社の主祭神三座の御神霊を遷(うつ)した神輿が渡御する。

7月1日から1カ月にわたり京都市内各所で様々な神事が行われる祇園祭。気になる神事には足を運び、祭りの歴史と文化にふれながら無病息災を祈願しよう。

祇園祭にまつわる豆知識

祇園祭は別名「鱧祭」とも呼ばれるそう。これはちょうど鱧が旬を迎える時期に祇園祭が行われることにちなむ。鱧のお吸い物に鱧落としは、まさに京都の夏の風物詩。毎年7月上旬には、淡路島から八坂神社に鱧を奉納する「はも道中」も行われている。

そしてもう一つ、きゅうりを切った断面の模様が八坂神社の神紋・木瓜紋(もっこうもん)に似ていることから、祇園祭の期間中、関係者はきゅうり断ちをするのだとか。旬のきゅうりを断つことで、祭りの無事を祈る願掛けの意味もあるようだ。

八坂神社の祭事「をけら詣り」

毎年、大晦日から元日未明にかけて行われるのが「をけら詣り」。境内にある「をけら灯籠」に灯された火を吉兆縄と呼ばれる火縄に移し、来年の無病息災や厄除けを祈願する。

八坂神社 をけら詣り

火を消した火縄は、火伏せのお守りとして台所に祀る風習があるほか、その火で雑煮をたくと、1年間を無病息災で過ごせるという。京都ではよく知られている、年越しの風物詩だ。

八坂神社の基本情報(拝観時間、拝観料、アクセスなど)

スポット名八坂神社(やさかじんじゃ)
料金境内自由
時間6:00~17:00(神事等により変更の場合あり)
問い合わせ075-561-6155
アクセス阪急京都河原町駅下車 約8分、または市バス・祇園停下車すぐ
住所京都市東山区祇園町北側【MAP
URLhttps://www.yasaka-jinja.or.jp/

八坂神社周辺のランチやカフェ情報

八坂神社周辺でランチやカフェに行くなら、京都河原町エリアや祇園エリアがおすすめ。詳しくはこちらの記事を要チェック!

まとめ

古来京の都の守り神として信仰されてきた「八坂神社」。国宝・本殿をはじめとする貴重な建造物の数々に注目したり、境内に鎮座する摂社や末社にも参拝したりと、様々な魅力にであいながら、京都有数の古社である同社の力強いご利益を授かろう。

この記事を書いたのは… TOKK情報部
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この記事を企画・編集したのは… TOKK編集部I

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