阪急沿線で水無月の散策。雨の季節の伝統行事と花【TOKK2023年6月号】
2023.05.25特集
梅雨入りを迎えてからが楽しいあじさい巡りと、6月の伝統行事を知って沿線散策に出かけてみては。
目次
柳谷観音・楊谷寺(ようこくじ)のあじさい
「花手水(はなちょうず)」誕生の地・長岡京市の柳谷観音 楊谷寺
満々と水をたたえた手水に、季節ごとの花を浮かべて楽しむ「花手水」。この発祥の地とされるのが長岡京市にある柳谷観音・楊谷寺。京都の西側にある西山連峰の中腹に建ち、眼病平癒の祈願所として1200年以上の歴史を持つ名刹(めいさつ)でもある。
花手水は元々、水で手を清めるのが難しい時に、草花の露で身を清めることを表す言葉だが、柳谷観音の花手水が話題になるにつれて、手水に花を浮かべたものも「花手水」として名前が定着していった。
楊谷寺の執事・日下恵さんは5年ほど前から、書院横にある浄土苑の手水に花を浮かべ始めた。境内に咲いている花を使用するため、庭先で花を探しながら、鳥の声に耳を傾けていると気持ちがスッキリ、そんな時を過ごすのがお気に入りになった。
きっかけはプレゼントにもらったフラワーボックス
当初は、大好きな椿の季節に花手水を作って個人的に楽しんでいたそう。花が入ると手水は見違えるように華やかになり、参拝者からも「きれい」「楽しみにしている」という声が届き始める。
人気に火が付いたあじさいの花手水は、日下さんがフラワーボックスをプレゼントされた際に、「境内にたくさん咲いているあじさいならボリュームもあって、すごくきれいになるのでは」と、ひらめいたのだとか。
直径50センチほどの手水一つから始め、山門そばの四角く大きな手水にもあじさいを浮かべるようになると、この様子を参拝者がSNSに投稿、一気に全国へ広まっていく。
長岡京市内で観光巡りもぜひ楽しんで
季節ごと、月替わりと手水に花を浮かべる日が増えていき、今では住職の朝のお勤めの際に入れ替えを行うのが日課となっている。
「花手水を始めてから、何度も足を運んでいただく方も増えて、参拝の楽しみにしていただいているのがうれしいです。見て楽しんでいただきたい気持ちと、参拝の方へのお迎えの気持ちを込めて、毎日花を浮かべています」と日下さん。
今年は、楊谷寺から、長岡京市内でグルメや史跡を楽しむ一日観光を楽しんでみては。
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スポット名 | 柳谷観音 楊谷寺 |
料金 | 拝観料500円(あじさいウイーク開催時は700円)※高校生以下は無料。 |
時間 | 9:00~17:00(最終受付16:30) |
場所 | 長岡京市浄土谷堂ノ谷2【MAP】 |
アクセス | 阪急長岡天神駅→阪急バス・奥海印寺停下車約40分、または阪急タクシーに乗車約15分 ※6月17日は阪急西山天王山駅前ロータリーよりシャトルバスが運行(運賃は志納金として片道300円が必要)。 |
問い合わせ | 075-956-0017 |
お知らせ | あじさいウィーク 6月1日(木)~30日(金) |
URL | https://yanagidani.jp/ |
お知らせ | 楊谷寺の阿弥陀堂修繕のクラウドファンディングについてはこちらから! https://readyfor.jp/projects/yanagidani |
水無瀬神宮の水無月の大祓(はらい)
茅野輪(ちのわ)をくぐり、半年の厄を落とす
1年の半分にあたる6月30日に、各地の神社で執り行われる夏越の祓い。茅野輪をくぐり、半年間の穢(けが)れや厄を落とす神事である。茅野輪くぐりを終えると、人型の授与を受け、息を吹きかけたり、体の悪い部分を撫でたりして、人型に厄を移し、残り半年の健康を願う。
6月になると、各地の神社では茅(かや)で編んだ茅野輪が設置されるが、参拝期間は夏越の祓いの前後数日間や数週間とする神社も多い。
使用するのは淀川で育ったヨシの青葉
大阪府と京都府の府境に位置する水無瀬神宮では、夏越の祓いを「水無月の大祓」と名付けて執り行い、淀川のヨシを刈る作業から始めるという。ボランティアとともにヨシの刈り取りを行い、形を整えながら束ねて設置する。
瑞々しい水辺の植物は邪気を払うとされるため、6月30日の神事では、真っ青の茅野輪をもう一度準備し直すそう。神社の神事は通常、神社と神様の間で行われるもので参拝者などが参加できないものも多いが、夏越の祓いではお祓いの神様に来ていただき、人に対して行われる。
「参拝の際には、悪いものを祓うだけでなく、日常の当たり前に目を向けて感謝する機会にしていただければと願っています」と水無瀬禰宜(ねぎ)は話す。本格的な暑さを迎える前に厄払いして、健康に夏を乗り越えて。
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夏越祓(なごしのはらえ)を行う関西の神社9選
スポット名 | 水無瀬神宮 |
時間 | 9:00~17:00 |
場所 | 三島郡島本町広瀬3-10-24【MAP】 |
アクセス | 阪急水無瀬駅下車 約12分 |
問い合わせ | 075-961-0078 |
お知らせ | 茅野輪くぐり 6月1日~30日、水無月の大祓 6月30日15:00~、風鈴祭り 7月1日~ ※期間中は風車の設置やちょうちんによるライトアップも開催。 |
URL | https://www.minasejingu.jp/ |
伊和志津神社の夏詣(なつもうで)
新しく生まれた日本文化「夏詣」
「夏詣」という言葉を初めて聞く人も多いのではないだろうか。東京の浅草神社から始まったというこの神事は、暑い時期を無事に過ごせるよう、6~8月にかけて行われることが多い。6月30日の夏越の大祓と12月31日に執り行われる年越の大祓が対となっているように、夏詣は年始の初詣の対とされ、年の半分にあたる夏に参拝をしてもらおうと始まった新しい日本文化である。
手塚治虫作品など特別感のあるご朱印も手に入れて…
阪急逆瀬川駅から歩いて約6分の伊和志津神社でも、3年前から夏詣を執り行っている。「初詣の時期のような慌ただしさがなく、ゆったりしているのが夏詣の良いところではないでしょうか。特に夜は、周囲の森を通る涼しい風を受けて風鈴が揺れる音、浴衣で参拝される方の姿などが重なり、夏の風物をギュッと集めたような情景も美しいです」と木田宮司は話す。
伊和志津神社では、春夏秋冬、月ごと、宝塚市で幼少から青年時代を過ごした漫画家・手塚治虫の代表作品「鉄腕アトム」デザインなど、バラエティーに富んだご朱印が人気を集めている。
夏詣の期間は、手描きの風鈴の絵が入った特別なご朱印が授与されるという。「後で見返した時に、一緒にお参りした人や、その時の風景なども一緒に思い出せると皆さん楽しそうにお話いただきます」と木田宮司。今夏、初めて夏詣に行きたいという方は伊和志津神社へぜひ。
スポット名 | 伊和志津神社 |
時間 | 10:00~16:00 |
場所 | 宝塚市伊孑志1-4-3【MAP】 |
アクセス | 阪急逆瀬川駅下車 約6分 |
問い合わせ | 0797-72-3265 |
お知らせ | 夏越の大祓 6月30日、夏詣 6月30日~8月31日、夏祭 7月28日 |
URL | https://iwashidu-jinja.jp/ |
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