京都・大阪・神戸、阪急沿線で初詣。初詣とともに行きたい新春の祭事【TOKK2025年1月号】

長い歴史を持つ神事と、勝運をつかむ初詣。
2025年は初詣とともに新春の祭事にも注目しよう。

【京都】下鴨神社:蹴鞠(けまり)はじめ〈1月4日〉

お話を伺ったのは…
蹴鞠保存会 理事長 山本隆史さん

京都・東京で37名の会員が所属する蹴鞠保存会で理事長を務める。年12回、装束を身に着けて神社の年中行事で蹴鞠を披露している。

優雅な様で鞠を蹴りつないでいく、400余年の歴史をもつスポーツ

「蹴鞠は約2300年以上も前から中国で行われていたもので、現在のサッカーに近いスポーツであったとされています。日本には約1400年前に仏教とともに伝来、史料には飛鳥時代に法興寺(ほうこうじ)で蹴鞠の会が開催され、中大兄皇子が活躍したことが記されているほか、平安~室町時代を通じて歴代天皇も蹴鞠を好んだことなども記されています」。

江戸時代には庶民の間でも蹴鞠が大流行、鞠場(まりば)が設けられ、女性が鞠を蹴る様子も絵に残されている。明治維新後は一時後退したものの、旧公家を中心に蹴鞠は継承され、明治天皇の「蹴鞠を保存せよ」との勅命(ちょくめい)を受け、現在の蹴鞠(しゅうきく)保存会が設立されたそう。この伝統を新年に奉納するのが下鴨神社の「蹴鞠はじめ」である。

蹴鞠の作法

「蹴鞠は正式には8人で行い、蹴鞠をする人を鞠足(まりあし)と呼びます。勝敗はなく、より長く蹴り続けられることが良いとされています。この『長く蹴り続ける』という部分が蹴鞠の特徴で、鞠足同士が互いをカバーし合い、相手が取りやすい位置に蹴り上げることで、結果的に長く蹴り続けることができるのです。そのため〝カバーのスポーツ〟と言っています。さらに麗(うるわ)しく蹴ることも大切。蹴る人は、前ではなく上へまっすぐ蹴り上げ、受け手が前へ進みます。受けた人も真っ直ぐ上へ蹴り上げ、次の者に繋いでいくのです。コンパクトかつ穏やかに鞠を蹴り上げ、優雅な様であることが蹴鞠における上手となります。観覧の際にぜひ蹴り方にも注目してみてください」。

鞠作りと技の伝承

現在、蹴鞠に使用する鞠を作れるのは山本さんのみ。この機会に鞠作りについてもお話を伺った。「鞠は紙風船の革版だとイメージしていただくと分かりやすいと思います。古道具屋で買った鞠を使用していた時期もありますが、作れた方が良いと決心し、文献などを参考に制作を始めました。鞠を作ることを鞠括(くくり)と言い、室町時代以降、職人は御鞠師という家業として成立していたのですが、今は私が1人で作りながら後進を育てています。自宅の作業場では、革を揉んで柔らかくするところからスタートし、約1カ月に1つのペースで制作しています。

丸く切った鹿革を閉じ、直径約20cmの鞠を作る。
中に大麦を詰め成型した後、ベルト状の取革で革を括っていく。
顔料を使用して真っ白の鞠に仕上げる。
完成した鞠は湿気を防ぐため箱で保管。重さは120gほど。

また、最近高校生が保存会へ入会しましたので、若い世代へ蹴鞠の伝統を継承することもできるようになりました。鞠作りの技、蹴鞠の伝統の両方を後世へ繋ぎたいですね」。

スポット名下鴨神社
問い合わせ075-781-0010
アクセス阪急京都河原町駅→市バス•下鴨神社前停下車すぐ
住所京都市左京区下鴨泉川町59【MAP
インフォ「歳旦祭」1月1日8:00~
URLshimogamo-jinja.or.jp

【神戸】綱敷天満神社:綱打神事(つなうちしんじ)〈1月8・9日〉

お話を伺ったのは…
宮司 江藤和夫さん

明治以降、祖父の代から宮司を務める。夢叶祈願は江藤さんが12年がかりで完成させたパワースポットだそう。

龍と雷の神様に守護された鳥居をくぐり厄払い

鳥居をくぐれば全ての罪穢(けが)れ、厄災を払えるという綱敷天満神社の綱打神事。祭神・別雷(わけいかづち)大神にゆかりの特殊神事として大変珍しいもので、約800年前から続く新年の神事である。宮司の江藤さんによると「1月8日と9日に執り行われているのは『厄(やく)』の読みに数字を充てたと思われます。

毎年、8日の午前中に氏子の方と小綱36本(うるう年は37本)を12本ずつ、3束にして練り合わせ大綱を作ります。大綱を鳥居に巻く際は『罪穢れを流す』の意味を込めて3巻半とし、8本の矢を刺した後、榊(さかき)葉をつるした上へ御幣(ごへい)、麻緒(あさお)を付けて完成です。大綱は龍を、8本の白矢は『古事記』『日本書紀』に登場する八色雷公(やぐさのらいこう)を表し、鳥居に龍と雷の神をお招きすることで厄払いとしてはかなり強力なものとなり、鳥居自体が祓(はら)い具になるとされています。両日とも皆さまに甘酒やしょうが湯の接待を執り行いますのでぜひお越しください」とのこと。

(写真右・左)綱打された鳥居をデザインしたお守り、絵馬、(写真下)同社の祭神・別雷大神の土鈴、各800円。

同社を訪れた際には、「夢叶(ゆめかなう)祈願」もあわせて行いたい。

夢叶盤の正面に立ち、盤を回し、夢祈願する。そばの解説板に書かれた順番に沿って祈願を。

社殿前に設置された夢叶盤から、社殿、そして社殿東の干支広場を巡ることで、干支パワーを授かり夢が叶うよう祈願ができるというもの。

スポット名綱敷天満神社
問い合わせ078-841-1150
アクセス阪急御影駅下車 約12分
住所神戸市東灘区御影1ー22ー25【MAP
インフォ新春初祈祷「幸せ祈願☆夢祈願」1月1〜9日まで受付
URLmikage-tenjinsama.com

【大阪】勝尾寺:勝詣(かつもうで)〈1月1〜13日〉

お話を伺ったのは…
勝尾寺 寺務職 山田祐介さん

20年ぶりに生まれ育った箕面にUターン。参拝者の思い出に残る一日のために日夜奮闘中。

1300年の昔から知られる古刹で勝ち運をつかむ吉兆めぐり

境内に無数に置かれた大小様々なダルマの風景がSNSでも人気を集めている勝尾寺。1年を通じて勝ち運を願う参詣者が多く訪れているが、同寺の新年は「勝詣」からスタートする。元々、他の寺社と同じように新年最初の参拝を「初詣」と呼んでいたが、勝ち運の寺らしい、独自の行事として「勝詣」と名称を改めたそう。

毎年12月28日はお焚きあげ法要を行う。参拝者が置いたダルマは全て集められ、年に一日だけ境内からダルマが消える。

毎年、元旦から成人の日までを勝詣と定め、笹と十数種類の吉兆品を授与する。参拝者は山門で笹を受け取った後、その年の干支、米俵、勝ちダルマ…と、それぞれの願意ごとに設けられた吉兆品を授かりながら山上を目指す。期間中に吉兆品を授与してくれるのは、倍率数十倍の狭き門を突破した縁起のよい「勝ちムスメ」、「勝ちオトコ」。着物や法被(はっぴ)に身を包んだ華やかな奉仕の様子も新年ならでは。

生涯食うに事欠かない・米俵、強い足腰・健康わらじ、あらゆる宝に恵まれる・宝船…。全て手に入れるのも良し、願いに合わせて吉兆品を選ぶのも良し。

参拝の際には、易占「六十四卦ダルマみくじ」も引いてみて。このおみくじは結果が64パターンと豊富なのが特徴で、占いたいことを一つだけ心に念じながらダルマを選ぶことで、今の自分に必要な言葉を受け取ることができるのだそう。

参拝の後はお土産選びも楽しい!
(左)「勝ちグミ」139円、(右)「勝ちダルマクェーヘン?」1,458円

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「勝尾寺」は箕面にある勝運の寺。紅葉も絶景

箕面・勝尾寺へのアクセス解説。電車、バス、タクシー、公共交通機関での行き方

スポット名勝尾寺
問い合わせ072-721-7010
アクセス阪急北千里駅または北大阪急行・箕面萱野駅→阪急バス・勝尾寺停下車すぐ
住所箕面市粟生間谷2914ー1【MAP
URLkatsuo-ji-temple.or.jp
※参拝時間や吉兆品お授け日等は公式ホームページをご確認ください。

【阪急バスからのお知らせ】
年末年始の運行ダイヤは、阪急バスホームページ(hankyubus.co.jp)やバス停留所のお知らせをご覧ください。

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