【漫画の神様の世界へ】リニューアルした宝塚市立手塚治虫記念館

手がけた原稿は生涯で15万枚以上、生み出したタイトルは700以上。60歳で亡くなる直前まで連載を3本持ち、アニメの構想を練っていたという超人的な仕事をしていた日本が誇る漫画の神様・手塚治虫。

『鉄腕アトム』、『火の鳥』、『ブラック・ジャック』などの作品は、子どもから大人まで愛され、2020年には”彼が現代に生きていたとしたら描く漫画”をテーマに、AIと人間が協働で挑んだ「TEZUKA2020」の新作漫画が掲載されるなど、亡くなった今もその名前を聞かないことはありません。

そんな漫画の神様と称えられる手塚治虫は、多感な少年時代から成人して少しの約20年間を宝塚で過ごしました。そんな手塚治虫の世界に浸ることができるのが、大阪市内から電車で約40分程度行ったところにある宝塚市立手塚治虫記念館です。

今回はそんな手塚作品にどっぷりと浸ることができ、2020年にリニューアルオープンした宝塚市立手塚治虫記念館をたっぷりご紹介します。

漫画の神様・手塚治虫を育んだ場所

手塚治虫は1928年11月3日、大阪府豊中市生まれ。カメラ好きなサラリーマンの父と宝塚歌劇のファンで話し上手だった母の間に三人兄弟の長男として生まれました。宝塚へは、祖父が宝塚の山林のふもとに別荘として建てた家へ、手塚治虫が5歳の時に引っ越し、大人への入り口24歳までを過ごしました。

手塚治虫は幼少の頃から絵を描くのが好きな少年で、小学校の頃からマンガや紙芝居などを作って友人に見せていたのだとか。また本好きだったのもこの頃から。読むスピードが驚異的に早く、知識も豊富ゆえ、マンガのアイデアなどにも困らなかったと言います。

また昆虫に興味を持つようになったのは小学校5年生の時。クラスメートに見せられた図鑑がきっかけで、それ以来友人に誘われて箕面公園などに昆虫採集に出かけるようになり、卒業する時にはすっかり昆虫マニアになっていたと言います。甲虫(こうちゅう)からとった治虫(おさむし)というペンネームもこの頃から使っていました。

中学生になってからは、美術部で絵を描いたり科学雑誌の編集をしながらもマンガも本格的に描くようになりました。手塚マンガによく登場するヒゲオヤジは、この頃のクラスメートのおじいさんがモデルなのだとか。

大学では医学部へ進学。子どもの頃、腕に入ったばい菌から両腕切断寸前までいったところを優秀な医者のおかげで助かったことで、医学の道を志したと言われています。

ですが、医学生時代もマンガを描くことを諦めず新聞社などへ売り込みを続け、結果それが実を結んだことでマンガ家になることとなったのだそうです。

当時も今もハイセンスな街・宝塚

手塚が過ごした宝塚も今と同じくハイセンスで、宝塚歌劇や宝塚ホテル、ダンスホールなどがある華やかな街でした(当時手塚が住んでいた家の隣には宝塚歌劇の大スター・天津乙女が住んでいたのだとか。宝塚歌劇が好きな母の影響もあって宝塚歌劇は手塚にとってかなり身近なものだったと言えそう)。

ただ、手塚が暮らす家の近くの御殿山にはキツネやタヌキ、昆虫が多く住んでいて豊かな自然にも囲まれていました。また手塚が中学の時に始まった、太平洋戦争も体験しています。

モダンと華やかさ、豊かな自然、戦争による社会の歪みや平和への願いなどは手塚作品で描き続けられたテーマ。手塚が青春期を宝塚で過ごしたからこそ生まれたテーマとも言えます。そんな手塚治虫にインスパイアを与えた街だからこそ、手塚治虫の業績を記念するミュージアムが宝塚市に作られたのです。

宝塚市立手塚治虫記念館とは…

エントランスホールのテーマはリボンの騎士

宝塚市立手塚治虫記念館や宝塚歌劇団などで賑わう宝塚へは、大阪市内から阪急電車1本で行くことができます(宝塚市立手塚治虫記念館の最寄り駅・宝塚南口駅へは西宮北口駅で乗り換え)。

宝塚市立手塚治虫記念館では、約15万枚の原稿と700ものタイトルの作品を生涯で生み出した手塚の思いや表現を体系的に見ることができ、手塚治虫自身が唱え続けてきた「自然への愛」「生命の尊さ」をテーマに、青少年の夢と希望を未来へ広げていく施設です。

手塚作品以外でも、ゆかりの作家や注目の作家や作品を広く紹介する企画展なども実施しています。

お城みたいな外観、ユニークな展示方法

入り口前には火の鳥のモニュメントが輝く

ヨーロッパの古城がテーマの建物には、手塚治虫のエッセイ「ガラスの地球を救え」をモチーフにしたガラス製の地球がシンボリックに輝いています。

宝塚市立手塚治虫記念館は、地上2階、地下1階の3階構造。手塚治虫の考えや世界に「見て」「触れて」「感じる」ことができます。

エントランスを抜けると、「リボンの騎士」の王宮をイメージしたエントランスホール。

常設展は大きくは宝塚で過ごした少年時代からマンガ家デビューまでの「宝塚と手塚治虫」とその後の活躍にスポットを当てた「作家 手塚治虫」の2つに分かれて手塚治虫ゆかりの品々を紹介しています。

この展示方法がユニークで、『火の鳥・未来編』に登場する生命維持装置をモチーフにしたカプセル40本に展示されています。

生命維持装置をモチーフにした展示棚が40本ずらりと並ぶ

またメッセンジャー機では手塚治虫本人の動画「手塚治虫大いに語る」とさまざまな漫画家が手塚治虫について語る「手塚治虫を語る」の2本を見ることができます。

手塚本人のメッセージなどを見ることができる

アニメ作品もたっぷり見られる

アトムシアターではオリジナルのアニメ作品が見られる

手塚治虫といえばマンガだけでなく、アニメの功績も高い人。天井に手塚キャラクターがいっぱい描かれたアトムビジョンでは、記念館のオリジナル作品や手塚治虫実験アニメーションなどを月替わりで上映。子どもから大人まで魅了されるアニメーションの世界にたっぷり浸ることができます。

オリジナル作品は「都会のブッチー」、「オサムとムサシ」、「手塚治虫伝」の3本。上映作品については下記ホームページで検索。

また情報・アニメ検索機では、手塚治虫がどんな人だったか、幼少から作家になるまでや仕事部屋など手塚治虫本人の情報から作品のキャラクターとゲームができたり、手塚アニメ作品を視聴することができます。

手塚本人からマンガのことまでいろいろ見ることができる検索機

アニメーターになってみたい!

アニメーションつくりを体験できるアニメ工房

たくさん作品を見ていると、自分でも描けるような気持になってくるはず。それなら、アニメーション作りを体験できるアニメ工房へ。ここでは自分が描いたイラストがアニメになったり、背景を描くことも。また、好きな手塚キャラクターの色付けをしたり、ロボットのパーツを組み合わせて動かしたりと様々なことを体験することができます。注目は好きな絵から4つ選んで、それぞれジャンルからストーリーを作成できるもの。遊びながら物語づくりを学ぶことができるのは貴重な体験になりそう。

※平日は随時実施。日曜・祝日は実施スケジュールあり。当日受付。

定員:14名、所要時間:40分 

いざマンガの世界へどっぷりと…

手塚作品が網羅されているライブラリー

手塚治虫のすごさがわかってきたら、改めて読みたいのは実際のマンガ作品。ライブラリーでは、約2000冊もの書籍を閲覧することができます。また、英語・中国語・ハングルなどの外国語版や点字書籍も。日本に留まることなく、手塚治虫が世界でも愛されていることがわかる本棚で、どっぷり作品の世界へ入り込もう。

休憩は館内のジャングル大帝スペースで

リニューアルで新しくなった休憩スペース

手塚作品の世界観の余韻から覚めないなら、『ジャングル大帝』をイメージしたスペースで休憩を。ここでは塗り絵などを楽しむこともできます。

気になるお土産は記念館限定のものを

ミュージアムショップには限定の商品も販売

記念館などの施設へ行くと見逃せないのが、ミュージアムショップ。

宝塚市立手塚治虫記念館限定で購入できるグッズのクリアファイルや缶バッジ、ポーチやお菓子類ぜひチェックしておきたいですね。

左から「記念館オリジナル4連キーホルダー」576円
「記念館オリジナル4連ストラップ」629円

また、企画展実施時は限定グッズなどもあるので企画展実施の時はあわせてチェックして!

いかがでしたか

宝塚市立手塚治虫記念館は、2018年から2年をかけて2020年6月8日にリニューアルオープンをしました。常設展示カプセル内容やエントランスホールの天井部分のステンドグラスなどがきれいになり、また音声ガイドがついたスマートフォンアプリなどでさらに深く手塚作品を知ることができるようになりました。

手塚作品は子どもだけでなく、大人が読んでも読みごたえのある作品のため、家族連れでもたっぷりその世界観を楽しめそう。

まだ訪れたことがない方はもちろん、以前訪れたことがある方も、ぜひリニューアルされた宝塚市立手塚治虫記念館を訪れてみてはいかがでしょうか。

※現在コロナウイルス感染症対策のため、入館制限や土・日曜・祝日は完全入れ替制などを導入しています。詳しくは下記ホームページで確認ください。

※ライブラリー、情報・アニメ検索機、休憩コーナーは現在閉鎖中。映像ホール、アニメ工房は利用人数を制限しています。

スポット名 宝塚市立手塚治虫記念館
料金大人700円、中高生300円、小学生100円
時間9:30~17:00(入館は~16:30)
定休日水曜休
問い合わせ0797-81-2970
アクセス阪急宝塚南口駅下車 約7分、阪急宝塚駅下車 約10分
住所宝塚市武庫川町7-65【MAP
URL http://www.city.takarazuka.hyogo.jp/tezuka

この記事を書いたのは… TOKK編集部R

大阪・北摂育ち。甘党で1日1回の甘いものが欠かせません。
愛しているものは、ミルクティーとチョコレートとナッツとチーズケーキ…
趣味は、美術館巡り(浮世絵大好き)と観劇(ストレートプレイ中心)
シネマやイベント、TOKKの公式X(旧Twitter)を担当しています。

阪急沿線情報紙「TOKK」は創刊から50数年を経た情報紙で、関西の私鉄・阪急電車沿線のおでかけやグルメとくらし情報を毎月1回、各30万部発行するメディアです。取材のこぼれ話やお店の方から聞いたお話や、くらしの中で気になる情報を毎日更新中です。

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