清酒発祥の地・伊丹の「白雪ブルワリービレッジ長寿蔵」へ。レストラン、ミュージアム、ショップを併設するスポット

伊丹市の「白雪ブルワリービレッジ長寿蔵」は、老舗の酒蔵・小西酒造が手がける施設。併設のレストランにて、小西酒造オリジナルの日本酒とビールを、本格料理と共に味わえます。さらに、酒づくりを学べるミュージアムも併設。歴史ある建物は風情たっぷりです。

白雪ブルワリービレッジ長寿蔵 ミュージアム

今回は、合志(ごうし)達矢店長に施設を案内してもらいながら、同館の見どころ、レストランで人気のお酒や料理などをお聞きしました。

白雪ブルワリービレッジ長寿蔵 店長さん

白雪ブルワリービレッジ長寿蔵のコンセプトは「学・遊・食・楽」

「白雪ブルワリービレッジ長寿蔵」は1995年、阪神・淡路大震災の年に開館しました。日本最古の清酒銘柄「白雪」をつくる小西酒造が、200年を超える自社の古い蔵を活用しようと考えたのが開館のきっかけ。

白雪ブルワリービレッジ長寿蔵 ミュージアム

コンセプトは「お酒文化を遊ぶ、食べる、楽しむ、学ぶ」。1階に小西酒造の日本酒とビールを楽しめるブルワリーレストラン、2階には酒づくりを学べるブルワリーミュージアムがあります。

別棟にはブルワリーショップを構え、酒やおつまみ、スイーツなどを購入することもできます。

つまり白雪ブルワリービレッジ長寿蔵は、レストラン、ミュージアム、ショップを兼ね備えた、様々な楽しみ方ができるスポットなんです。

白雪ブルワリービレッジ長寿蔵を手掛ける「小西酒造」とは?

小西酒造の日本酒づくり

お酒を味わう前に、まずは白雪ブルワリービレッジ長寿蔵を運営する「小西酒造」についてご紹介します。

小西酒造は、1550年に創業した伊丹の老舗酒蔵。いまでこそ「お酒といえば灘(=神戸)」のイメージが強いですが、実は清酒発祥の地は伊丹。江戸時代は、灘よりもむしろ伊丹のほうが、酒の産地として知られていたといいます。

白雪ブルワリービレッジ長寿蔵 外観

「濁り酒」(どぶろく)しかなかった時代に、伊丹では「諸白仕込(もろはくしこみ)」という画期的な技術を導入し(麹ともろみ両方に精白米を使用する仕込法)、いまにつながる「澄んだ酒」の開発に成功。

そうして誕生した「伊丹諸白」は、馬借や樽廻船によって江戸に運ばれ、大きな評判となりました。

白雪ブルワリービレッジ長寿蔵 2F 天井

2020年、兵庫県の酒づくりは日本遺産に登録されます。そのストーリー名は「『伊丹諸白』と『灘の生一本』下り酒が生んだ銘醸地、伊丹と灘五郷」。構成文化財のなかには、もちろん白雪ブルワリービレッジ長寿蔵も含まれています。

小西酒造のビールづくり

日本酒の老舗・小西酒造が、のちにビールを手掛けるようになったきっかけは1985年。伊丹市とベルギー・ハッセルト市が国際姉妹都市提携を結んだこともあり、小西酒造はベルギービールの輸入販売を開始。

さらに、ベルギーでビール醸造技術を学び、1994年には自社生産をスタート。オリジナルのビール「白雪ビール」(※現在はKONISHI BEER)が誕生したのでした。

白雪ブルワリービレッジ長寿蔵 レストラン醸造タンク

「オープン当時はレストランに毎日数時間待ちの列ができました。そして、お客様が白雪ビールの通いビンを持って、何度もショップに足を運んでくださりました」と合志店長。(※現在、通いビンはおこなっておりません)

白雪ブルワリービレッジ長寿蔵 外観

その後、地ビールブームでオリジナルビールをつくるところが増え始め、ビールの個性を楽しむ時代に。白雪ブルワリービレッジ長寿蔵では今でも、KONISHI BEERは圧倒的な人気を誇っています。

1階ブルワリーレストランで日本酒やビールを堪能

さて、さっそく館内を巡ります。まずは1階のブルワリーレストランへ。

おすすめの日本酒とビール

レストランのおすすめは、やはり日本酒とビール!

初めての人にもおすすめの日本酒は、名物の「淡にごり」。昔ながらの袋しぼりによる、うすにごりが特徴のお酒で、諸白づくりの味わいを追求した風味豊かな逸品。提供するときには、写真のように高い位置から(1メートル以上!)お酒を注ぐ驚きのパフォーマンス付きです!

白雪ブルワリービレッジ長寿蔵「淡にごり」

合志店長によると「この注ぎ方により、味がまろやかになり、甘みが増します」とのこと。口にしてみると、香りや甘さがふわっと広がり飲みやすい味わい。

ビール好きなら、ぜひ「KONISHIビールテイスティングセット」をお試しください。

日本酒酵母と酒米の山田錦を使った「ゴールドエール」、蘭学者・川本幸民がペリーの黒船で飲んだビールを再現した「幸民麦酒」など、4種のKONISHIビールを飲み比べできます。

「KONISHIビールをはじめ、レストランで提供しているお酒の一部は、併設ショップで販売しています。気に入ったものはお土産にして、ぜひご自宅でもお楽しみください」(合志店長)

おすすめのランチ・ディナー・スイーツ

白雪ブルワリービレッジ長寿蔵では、お料理とお酒のマリアージュを楽しめるのも魅力。ランチ・ディナーのおすすすめメニューを合志店長に紹介していただきました。

白雪ブルワリービレッジ長寿蔵「酒粕ピザ」

ランチで人気なのは「酒粕ピザ」。生地とソースの両方に酒粕が使われており、もっちりした生地から漂う酒粕の風味がたまらないのだとか!

和の食材にもこだわり、自家製の奈良漬けもトッピングされています。奈良漬けにも酒粕が使用されており、まさに酒粕尽くし。この奈良漬けはショップで販売されています。

ディナーの一番人気は、お店の名物でもある「ムール貝のワイン蒸し」。国産ムール貝を特製スープとワインで蒸し上げ、セロリと一緒にいただく大人な一皿。ビールの国ベルギーの名物料理でもあるだけに、ビールとの相性は抜群です。

デザートも見逃せません。一番人気、かつ合志店長のおすすめスイーツは「日本酒ティラミス」。小西酒造の「伊丹諸白」を使用しており、芳醇な香りを楽しむことができます。

酒蔵レストランで丹精込めてつくられたお料理やお酒をいただくのは、なかなか乙(おつ)な経験でしょう。

小西酒造のお酒がおいしい理由とは?

白雪ブルワリービレッジ長寿蔵 レストラン醸造タンク

レストランに入ってすぐ目に入るのが、巨大な醸造タンク。こちらはベルギーから取り寄せたもので、熱伝導に優れている銅製。熱伝導が良いことで酵母の働きが活発になり、おいしいビールに仕上がるのだとか。

白雪ブルワリービレッジ長寿蔵 レストランビールサーバー

レストラン奥のカウンターにある、ユニークなデザインのビールサーバーにも注目を。ベルギーから取り寄せた陶器製の特注品で、常時4種の樽生ビールが味わえます。ビールはサーバーからの注ぎ方で味が変わるともいわれますが、同店のスタッフは全員、最高のビールを提供するための研修を受けているそう。道理で抜群においしいわけです。

白雪ブルワリービレッジ長寿蔵 レストラン

白雪ブルワリービレッジ長寿蔵はもともと酒蔵の建物だったこともあり、天井が高く内部は広々。1階には200以上の座席があり、20名以上ならパーティルームの貸切利用が可能とのこと。同窓会や忘年会など、大人数で会食する時にも気兼ねなく過ごせて良いですね。

ブルワリーミュージアムで酒づくりの歴史や技術に触れる

レストランでおなかを満たしたら、2階のミュージアムへ。

ミュージアムでは、江戸時代から使われている酒づくりの道具をはじめ、酒造りのジオラマなどの展示により、昔の酒づくりの様子を学ぶことができます。

展示されている道具は約200点。杜氏や蔵人によって実際に使われていたものが中心となっています。

白雪ブルワリービレッジ長寿蔵 ミュージアム

たとえば、手前にある大きな樽は「甑(こしき)」と呼ばれる米を蒸すための道具。近くで見ると迫力がありますね!酒米が発酵した「醪(もろみ)」をかき混ぜるための道具類も展示されています。

白雪ブルワリービレッジ長寿蔵 ミュージアム 麹室

麹を仕込むための部屋(麹室=こうじむろ)も再現されていました。展示を通じて、昔の酒づくりの歴史に触れてみてください。

ブルワリーショップにてお土産を吟味

ショップには、看板商品「白雪」はじめ、小西酒造の商品がずらりと並んでいます。ショップスタッフさんにおすすめを教えてもらいました。

白雪ブルワリービレッジ長寿蔵 ショップ

まずは、売れ筋の「超特撰 白雪 伊丹諸白本醸造」。兵庫県産山田錦100%使用した、芳醇な味わいの日本酒。小西酒造の代表的な銘柄です。

続いて、贈り物として購入する方も多いという「超特撰 白雪 江戸元禄の酒(復刻版) 原酒」。創業家である小西家に伝わる秘伝書をもとに、元禄時代のお酒を復元したのだそう。甘口のお酒で、ティラミスなどのほろ苦いスイーツにも合うのだとか。

店内には、一杯100円で試飲できる機械もあります。気になるお酒を気軽に試せるのはうれしいですね!

白雪ブルワリービレッジ長寿蔵 ショップ

スイーツは「日本酒ドーナツ」「酒ケーキ」「酒粕チーズスプレット」などが売れ筋。手土産にもぴったりなギフトセットもありました。

白雪ブルワリービレッジ長寿蔵 酒粕チーズブレッドギフトセット
白雪ブルワリービレッジ長寿蔵 白雪奈良漬

清酒「白雪」の酒粕に漬け込んだ「白雪奈良漬」も、食卓に彩りを添える一品におすすめです。

併設のブルワリーレストランで味わったお酒を、ショップで買って帰る人も多いそう。お土産を吟味して、自宅でも小西酒造の味を楽しんでくださいね。

白雪ブルワリービレッジ長寿蔵の感想

おいしそうな日本酒とビールの数々に「あれも飲みたい、これも飲みたい」と目移り!次回の楽しみができました。お酒に強くない家族には、樽の杉の香りがする「白雪 樽酒カップ」(200ml)を買って帰ったところ、とても好評。

館内をぐるりと回るのはもちろん、食事やショッピングにふらりと立ち寄るのもおすすめ。

ちなみに、白雪ブルワリービレッジ長寿蔵からすぐ近くに「旧岡田家住宅」があります。こちらでも酒づくりの展示がされているので、あわせて見学するといいでしょう。

白雪ブルワリービレッジ長寿蔵の基本情報

スポット名白雪ブルワリービレッジ長寿蔵
営業時間レストラン11:30~21:00(LO20:30)、ミュージアム11:30~17:00、ショップ10:00~19:00
休館日火曜
問い合わせレストラン:072-773-1111
ミュージアム:072-773-0524
ショップ:072-773-0524
アクセス阪急伊丹駅下車 約5分
住所伊丹市中央 3-4-15【MAP
URLhttps://www.konishi.co.jp/choujugura/

白雪ブルワリービレッジ長寿蔵周辺のおすすめランチ・カフェ・スイーツ情報

白雪ブルワリービレッジ長寿蔵を訪れた際は、もちろんブルワリーレストランがおすすめ!他にも伊丹には様々な飲食店があります。こちらの記事もアワセテチェックしてみてください。

お店の雰囲気抜群の、ランチがおいしい店はこちらをチェック!思わず誰かに教えたくなるようなおしゃれなお店ぞろいです。

手土産や自分へのご褒美にぴったりな伊丹の本格スイーツはこちらをチェック!和洋菓子どちらも紹介していますので、ぜひチェックしてみて。

ちなみに伊丹市には、様々なおすすめ観光スポットもあります。歴史、文化、自然などの魅力にあふれ、そして大阪国際空港(伊丹空港)の飛行機の離発着シーンを間近に見られるスポットも!伊丹のおすすめ観光スポットはこちらをチェック!

この記事を書いたのは… TOKK情報部
「TOKK情報部」は、TOKKの読者から構成されている組織です。大阪・兵庫・京都の阪急沿線エリアを中心に、関西で長年暮らしているメンバー揃い。年代、性別もさまざま。グルメ/観光/エンタメ/歴史/アート/イベントなど、様々なジャンルに興味・関心をもち、沿線ライフを日々楽しんでいる「TOKK情報部」が、TOKK読者ならではの目線で取材した記事をお届けします。

この記事を企画・編集したのは… TOKK編集部I

甘いものが大好きなTOKK編集部 I

京都在住。休日の過ごし方はもっぱら京都のまち歩き。美術館や社寺、お笑いライブがとくに好き。花より団子。

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