<天神祭編>伝統と食。歴史ある祭りの食文化に注目【TOKK2024年7月号】

毎年7月24・25日に開催される天神祭。天神祭の見どころと共に、祭りの担い手たちが食べる伝統食から地元のお店で購入できる縁起物まで、祭りゆかりの食べものを紹介。

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<祇園祭編>伝統と食。歴史ある祭りの食文化に注目

※掲載行事や施設の定休日、営業時間などは予告なく変更される場合があります。また、荒天時は行事が予告なく中止になる場合があります。

大阪のまちの平穏を祈る日本最大級の夏祭り

大阪の天神祭は、京都の祇園祭、東京の神田祭と並ぶ「日本三大祭り」の一つ。大阪天満宮の御祭神・菅原道真公を中心に、神社や氏子崇敬者が、世の中の平穏と人々の無病息災を祈願する。

始まりは951年。その年、大川に神鉾を流し、流れついた場所を仮の御旅所として斎場を設け、御神霊を遷して禊祓(みそぎはら)いを行った折、周辺住民や崇敬者が船を仕立てて奉迎した「鉾流神事(ほこながししんじ)」が起源とされる。以来、船の数が徐々に増え、豊臣秀吉が大坂城を築いた頃には、現在の船渡御の形が整うまでに隆盛。18世紀前半には、祭りを支える組織・講(こう)が誕生し、新たにお迎え人形も登場した。

鉾流神事
人々の平安を祈り、神童が船上から堂島川に神鉾を流す厳かな神事。

こうして全国に名を馳せた天神祭は、幾度もの存続の危機を乗り越え、脈々と今に受け継がれてきた。現在の天神祭は6月下旬から諸行事が行われ、7月24日の宵宮と25日の本宮がいよいよ祭りのクライマックス。24日には鉾流神事をはじめ、どんどこ船や獅子舞の宮入りなどが行われ、まちが活気と熱気に満ちていく。

25日の見どころは、菅原道真公の御神霊を遷した御鳳輦(ごほうれん)を担ぐ行列が、大阪天満宮から天神橋までを練り歩く「陸渡御」。

続いて船に乗り込み、御神霊を乗せた御鳳輦奉安船や奉拝船など約100隻の船が大川を往来する「船渡御」も必見。

船渡御
船が行き交う際に、威勢の良い掛け声と共に手打ちを交わす「大阪締め」も「船渡御」の名物。

最後は夏の夜空に約3,000発の華麗な奉納花火が打ち上がり、祭りは盛大に幕を閉じる。天神祭に足を運び、大阪の夏を元気に楽しもう。

奉納花火
奉納花火のなかには、神紋の梅がモチーフのオリジナル花火「紅梅」の打ち上げも。ぜひ探してみて。

<Access>
陸渡御の観覧、神事・祭礼

場所大阪天満宮
問い合わせ06-6353-0025
アクセス阪急大阪梅田・天神橋筋六丁目各駅→地下鉄・南森町駅下車すぐ
住所大阪市北区天神橋2-1-8【MAP

船渡御・奉納花火の観覧

場所天神橋・桜宮橋付近
アクセス阪急大阪梅田・天神橋筋六丁目各駅→地下鉄・南森町駅下車 約8~14分

滋味深いものを食べて夏を元気に過ごす

天神祭においても、個性豊かな食文化が育まれてきた。祇園祭の時期によく食べられてきた鱧は、天神祭とも関わりが深い。かつて天満界隈の旧家では、天神祭の日は正月並みに豪勢な食事で祝う慣習があり、鱧や明石産のタコといった旬の食材が食卓に並んだという。門前町の天神橋筋商店街でも、鱧の湯引きや甘辛のつけ焼き、鱧のすり身ときくらげを混ぜ込んだ練りもの「白天(しろてん)」などが販売された。昔は天神祭の宵宮に、白天とカイワレのおすましを食べる風習もあったのだとか。

天神祭のある土用の丑の日に、鴨肉をすき焼きにして食べる習わしもあった。鴨好きで知られる豊臣秀吉が鴨の飼育を推奨し、明治時代には大阪の一大産業に発展。夏に脂が乗りおいしくなる鴨は、滋養に富み夏バテ防止の食材としても喜ばれた。

天神祭の伝統的な縁起物「白蒸(しらむ)し」も独自の食べもの。蒸したもち米と梅干を竹の皮で包んだもので、渡御に奉仕する人が、渡御の合間に船上などで食べる。7月24・25日に、天神橋筋商店街にある御菓子司 薫々堂(くんくんどう)にて購入可能(数量限定のため事前予約がベター)。祇園祭の「みこし弁当」(記事はこちら)と似ている理由は定かではないが、どちらも竹の皮や梅干の効果により傷みにくく、腹持ちの良い携帯食として理にかなっているのかもしれない。

祭りゆかりの食べものを昔の風習にならい食べることで、祭りの奥深い魅力に触れる良い機会になるだろう。

大阪人になじみ深い白天「星合茶寮」

「天神ぎつねうどん」550円

大阪天満宮境内にある同店では、白天入りのうどんを通年提供。現在鱧は原料に使われていないが、天満宮参拝後、天神祭に思いを馳せながら白天を気軽に食べられる。白天の由来は諸説あり、天神信仰にちなみ天が雷で白んだ様子を表し、きくらげを稲妻に見立てたとの説も。

店名星合茶寮
時間11:00~16:00
定休日火・水曜休
問い合わせ0120-533-539
アクセス阪急大阪梅田・天神橋筋六丁目各駅→地下鉄・南森町駅下車 約4分
住所大阪市北区天神橋2-5-6【MAP
URLhttps://udon-soujyu.jimdosite.com/%E3%81%86%E3%81%A9%E3%82%93%E5%BA%97%E8%88%97/

老舗和菓子店が作る白蒸し「御菓子司 薫々堂(くんくんどう)」

「白蒸し」600円 ※なくなり次第終了。

銘菓「浪花津」をはじめ、四季折々の和菓子を作ってきた薫々堂は、7月24・25日のみ白蒸しを販売している。白蒸しの材料はもち米と昔ながらのすっぱい梅干、塩のみ。もち米の甘みが感じられる素朴な味わいで、暑さに疲れた体に元気が湧いてくる。事前予約がベター。

店名御菓子司 薫々堂(くんくんどう)
時間10:00~19:00
定休日火曜休
問い合わせ06-6351-0375
アクセス阪急大阪梅田・天神橋筋六丁目各駅→地下鉄・南森町駅下車すぐ
住所大阪市北区天神橋3-2-27【MAP
URLhttps://osaka-shotengai-info.com/shop/kunkundou/

夏の滋養強壮に役立つ鴨料理「AnaTra(アナトラ)」

「鴨鍋」1人前3,300円 ※写真は2人前。

和洋様々なバリエーションでカジュアルに鴨料理を楽しめるAnaTra。名物は新鮮な鴨肉とたっぷりのクレソンを鴨ダシにくぐらせて食べる鴨鍋。滋味深くあっさりとした味わいの鴨肉は夏にもぴったり。「土用の丑の日は鴨」とのかつての食文化を体験してみて。鴨鍋は1人前から注文可能。

店名AnaTra(アナトラ)
時間17:00~23:00
定休日月曜、第2日曜休
※オーナーがケガ療養中のため臨時休業中。再開時期は事前に要問い合わせ。
問い合わせ080-1448-1697
アクセス阪急大阪梅田・天神橋筋六丁目各駅→地下鉄・扇町駅下車 約8分
住所大阪市北区同心2-15-11【MAP
URLhttps://www.instagram.com/anatraducks/

大阪天満宮は水もおいしい

大阪天満宮の境内に湧く名水「天満天神の水」にも注目したい。「天満天神の水」は古くから、軟水特有のまろやかさがありおいしいと評判で、江戸時代には「大坂四清水」のひとつに数えられた。そのおいしさから、中之島の諸藩の蔵屋敷では、藩主の滞在中、飲食用の水をわざわざ天満宮まで汲みに来る習慣があったという。一時は地下水が枯れたと思われたが、2014年に復活し、現在は毎月1・10・25日の3日間だけ取水できる。

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