関西と関東のさくら餅の違いとは?お花見と楽しむ和菓子・さくら餅を紐解く!【TOKK2023年3月号】
2023.02.25特集
桜の季節の和菓子・さくら餅を歴史や素材から紐解く特集。今年のお花見は春の餡菓子とともに楽しんで。
お花見のお供にしたい、さくら餅。関西と関東の違いとは?さくら餅を紐解く
春を呼ぶ和菓子・さくら餅
桜の話題が聞こえてくる頃になると店に並ぶのが桜葉に包まれたさくら餅。桜の葉も一緒に口に入れると、何とも言えない良い香りが口の中に広がる。一口にさくら餅と言っても、関西と関東では見た目も食感も違ったものが楽しまれているが、花を愛でるだけでなく、葉や花を塩漬けにして食すのは西も東も変わらない。桜花よりも早く、春の訪れを告げる味覚を楽しもう。
お話をうかがったのは… 京都製菓製パン技術専門学校 和菓子講師 塩貝祥代さん
京都の老舗(しにせ)和菓子店に勤務後、同校で和菓子講師を務める。京菓子展「手のひらの自然ー徒然草」2021で、茶席菓子実作部門大賞を受賞。
和菓子店の数だけスタイルがあるさくら餅を楽しもう!
「さくら餅とは、小麦粉やもち米から作られた生地で小豆餡を包み、塩漬けにした桜葉を巻いて作られた和菓子のことです。桜色に色付けされた美しい和菓子は、茶席から皆さんの食卓まで、早春になると登場する伝統的な春の和菓子ですね。名物として年中販売しているお店もあれば、素材は一緒でも見た目や味が少しずつ違っていたりと、お店によってさまざまな個性があります」。
大阪府藤井寺市の道明寺が興(おこ)りとされる関西風さくら餅
「まずは皆さんになじみ深い関西風さくら餅ですが、大阪府藤井寺市にある道明寺が興りとされています。素材の一つである道明寺粉がこの地で作られたため、別名・道明寺餅とも呼ばれています。道明寺粉はもち米を蒸し、乾燥させた後、粗目に砕いたもので、さくら餅を作る際には沸騰した砂糖水の中に入れて柔らかく戻して使います。プチプチとした独特の食感が特長ですね」。
東京都墨田区の長命寺門前が発祥の関東風さくら餅
一方の関東風さくら餅は、長命寺桜もちの創業者である山本新六が1717年に、桜葉を塩漬けにしさくら餅を考案したのが始まりとされています。薄力粉と白玉粉で作った皮を焼いたもので餡を巻く、挟むなどしており、関西風とはまた違ったモチっとした食感です」。
さくら餅の豆知識【桜の葉】
さくら餅に使用される桜の葉は、大半が伊豆半島のオオシマザクラとされ、葉の形がよく若葉に毛がなく、香りが良いという理由から選ばれている。6~7月頃に収穫された葉は、丁寧に仕分けられてから塩漬けされ、翌年に出荷される。
さくら餅 の豆知識 【香り】
さくら餅を包む桜葉の香りはクマリンという成分によるもの。塩漬けにすることでより香りがたつという特徴を持ち、さくら餅の他にも水ようかんやくず餅を包み、販売されていることも。
【抹茶と楽しむさくら餅】「お菓子×桜イベント」2023年3月18日(土)開催!
京都製菓製パン技術専門学校に併設されている京都・太秦 Taiwa Museumの見学や、さくら餅作りの体験ができるイベント。ふるってご参加を。
イベント参加のお申し込みはこちら
阪急沿線のおいしいさくら餅を訪ねて
【高槻市駅・富田駅】花見には団子の方が食べやすいと主人が考案「菓匠 幸春」
ミニサイズのさくら餅を2つ、竹串でまとめた「桜団子」。使用する材料はさくら餅と全く同じだが、餅一つを一口で食べきることを考慮して、道明寺粉を厚めに巻き、小豆の食感や風味が強く出るよう粒餡を使用。小さくてもさくら餅の味わいがしっかり。創業は江戸時代という老舗で、桜団子は20数年来の人気商品。近所の桜の名所・芥川へのお供にする人も多い。
スポット名 | 菓匠 幸春 |
時間 | 9:00~18:00 |
定休日 | 月曜・第2日曜休 |
問い合わせ | 072-672-0861 |
アクセス | 阪急高槻市駅下車 約25分、または阪急富田駅下車 約20分、または阪急高槻市駅→市バス・城西橋停下車すぐ |
住所 | 高槻市津之江町2-5-10【MAP】 |
URL | https://kou-shun.com/shop/ |
【豊中駅】砂糖の種類を変えて作る“甘み”。糖度をおさえたすっきり味「和菓子処 喜楽」
粗目の道明寺粉のプチプチとした食感と、すっきりした甘みの餡を楽しむシンプルなさくら餅。店主は和菓子の特長の一つである“甘み”の作り方に神経を注ぐ。グラニュー糖でやさしい甘さを出し、さらに糖度を低めにして小豆を炊く。同時期には子どもから大人まで大人気というどら焼きにも、さくら味が登場!
スポット名 | 和菓子処 喜楽 |
時間 | 10:00~19:00 |
定休日 | 火曜休 |
問い合わせ | 06-6335-4313 |
アクセス | 阪急豊中駅→阪急バス・北緑丘停下車すぐ |
住所 | 豊中市西緑丘3-13-12【MAP】 |
URL | https://wagashi-kiraku.com/ |
【苦楽園口駅】さくら餅をケーキのように仕立てた創作和菓子「和菓子 こはく」
しっとりした食感が特長の蒸し菓子・浮島をベースに、さくら餅を洋菓子のようなイメージで表現した「夙川の春」。桜色、桜葉の粉末を混ぜたグリーンの餡で求肥を挟み、桜のつぼみの塩漬けを乗せている。見た目に反して、口に入れるとさくら餅と同じ味わいが広がるのもユニーク。オーナーが青春時代を過ごした夙川の春を詰め込んだ一棹。
スポット名 | 和菓子 こはく |
時間 | 10:00~19:00(ただし商品が完売の際は閉店) |
定休日 | 月曜休(祝日の場合は営業) |
問い合わせ | 0798-71-5889 |
アクセス | 阪急苦楽園口駅下車 約5分 |
住所 | 西宮市南越木岩町15-12【MAP】 |
URL | https://www.wagashi-kohaku.com/ |
【神戸三宮駅】豆好きの主人が生み出す和の春菓子「和のおやつ つばきや」
豆好きが高じて和菓子店を始めた店主が作るのは、おはぎ、どら焼き、あんスコーンなど日常のおやつ。小さな店先には、手間を惜しまず、小豆への愛情がひしひしと伝わってくる商品が並ぶ。「さくら餅」は半日ほどかけて炊いた小豆餡を、もちっとした道明寺粉と桜葉で包んだ正統派のスタイル。3~4月中の販売予定。
スポット名 | 和のおやつ つばきや |
時間 | 12:00~17:00 |
定休日 | 日~火曜休 |
問い合わせ | 078-384-2871 |
アクセス | 阪急神戸三宮駅下車 約11分 |
住所 | 神戸市中央区中山手通3-12-15-101【MAP】 |
URL | http://tsubakiya-kobe.com/ |
【松尾大社駅】甘酸っぱいイチゴが丸ごと入ったさくら餅「松楽」
イチゴの赤がうっすらと透けて見える様子が愛らしいさくら餅。酸味のあるイチゴを丸ごとこし餡と道明寺、桜葉で包み、味わい、香りともに春らしい一品になっている。他にはないものをと主人が考案し、20数年前に季節限定で販売を開始、知る人ぞ知るさくら餅となっている。複数個希望の場合は予約がおすすめ。
スポット名 | 松楽 |
時間 | 9:00~18:00 |
定休日 | 水曜休 |
問い合わせ | 075-871-8401 |
アクセス | 阪急松尾大社駅下車すぐ |
住所 | 京都市西京区嵐山宮ノ前町23-3【MAP】 |
URL | http://kyoto-shoraku.com/ |
【嵐山駅】高級料亭のおみやげとして愛された逸品「鶴屋 壽(ことぶき)」
桜の名所・嵐山にある鶴屋 壽の「嵐山さ久ら餅」は桜葉2枚で挟み、特に香り高いのが特長。約70年前、店の名物として先代が考案したものを、地元の高級料亭の意見も取り入れながら改良を重ねた。小ぶりな餅が軽さを生み出し、複数個はいただけてしまう。また、年中販売されており、季節感が出ないよう餅は白いままにしている。
スポット名 | 鶴屋 壽(ことぶき) |
時間 | 9:00~17:00 |
定休日 | 無休 |
問い合わせ | 075-862-0860 |
アクセス | 阪急嵐山駅下車 約20分 |
住所 | 京都市右京区嵯峨天龍寺車道町30-6【MAP】 |
URL | http://www.sakuramochi.jp/ |
お知らせ
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