職人が作り出す涼感。夏の伝統品【TOKK2022年7月号】

暑い夏を快適に過ごす古からの知恵。
そんな知恵を大切に、また新しい形で今に受け継ぐ職人が生み出す品々の世界を大特集します。

<京うちわ>【京都・烏丸】京うちわ 阿以波(あいば)

細い骨と繊細な装飾が生み出す涼

京うちわ
「並型片透かしうちわ」(上から)朝顔、金魚 各5,720円
美しい切り絵などの技法を生かして、しっかりあおぐことができるうちわ。
90本もの骨がありながら、とにかく軽いのが特長。

元禄二年創業、「阿以波」は京うちわ一筋、今年で333年になる老舗(しにせ)だ。

京うちわとは、細骨と美しい装飾のうちわ面に、取っ手を後から組み合わせる挿し柄が特徴とされている伝統的工芸品。うちわには涼を得るだけでなく、魔除けや邪気を祓(はら)う意味もあり、それゆえ神事や軍配などの縁起物としても使われている。

京うちわ 阿以波

「阿以波」にはあおぐことを目的としたうちわから、両面に透かしが入ったものや美しい刺繍を施した京うちわまで数多くそろう。まず、片透かしのうちわを手に取れば、その軽さに驚かされる。面が大きいため一度に起こせる風は大きく、細い骨がよくしなってあおぎやすい。「うちわは実際に涼を得るだけでなく、お花の代わりに床の間などへ飾ることもできますよ」と女将さん。季節を先取りした絵柄のうちわから、季節を楽しむ心を改めて気付かされた。京うちわには涼しさだけでなく、繊細優美な姿から目で見る涼感も味わえるのだ。

パチッと心地良い音が響く空間

「阿以波」の作業場では、うちわの骨を折るパチッと弦をはじいたような音が淡々と響く。紙と骨を合わせる仮張りという作業では、線も引いていない薄い紙に細い竹の骨を均等かつ放射状に糊付けしていく。

京うちわ 阿以波

芸術品のような繊細で美しいうちわだが、「生活の中で使ってもらうのが工芸品だと思う」と、十代目当主の饗庭さん。原材料をはじめ、後継者も減っている伝統工芸の世界だが、切磋琢磨しながら生み出すことで様々な発見があることを教えてくれた。美しいうちわを日常に取り入れる高揚感が、爽やかな涼をもたらしてくれそうだ。

京うちわ 阿以波
スポット名京うちわ 阿以波(あいば)
時間10:00~18:00
定休日日曜・祝日休(7月末までは無休)
問い合わせ075-221-1460
アクセス阪急烏丸駅下車 約4分
住所京都市中京区井筒屋町422【MAP
URLhttps://www.kyo-aiba.jp/

【CHECK】祇園祭 山鉾巡行が3年ぶりに復活!

技術の伝承と継続のため、例年に近い形で催行される2022年の祇園祭。詳細はこちらよりチェックして!

豪壮な山鉾巡行を3年ぶりに開催。京都「祇園祭」7月1日(金)~31日(日)

3年ぶりに実施される巡行を見に行くなら…祇園祭特別号miniTOKK

技術の伝承と継続のため例年に近い形で催行される2022要駅で設置・配布されている「祇園祭特別号miniTOKK」を連れて出かけてみて!大きなマップもあるため見やすく、京都の町を散策するのにも便利です!
またスマホサイトも公開中のため、実際に手に取れない方はこちらでもチェックできます!

https://www.hankyu.co.jp/sp/area_info/gion2022/

<クラフトビール>【兵庫・伊丹】小西酒造

世界が認める清酒蔵元のビール

クラフトビール
「ITAMI BEER」(左から)ブラック、ホワイト、アンバー 各528円
日本酒造りで培った発酵技術と独自のボトル熟成方式で、クラフトビールでは珍しい常温保管を可能にしている。
「ホワイトとアンバーは6~8℃、ブラックは10℃くらいで飲むと香りや味わいを最大限楽しめます」とのこと。

清酒発祥の地とされる伊丹で長く続いてきた小西酒造が、クラフトビールでも世界的に高い評価を得ていることをご存じだろうか。

小西酒造

小西酒造のビール「ITAMI BEER ホワイト」は、ベルギービールの醸造技術に、「白雪」など日本酒の発酵技術を合わせたビールで、昨年世界3大ビールコンテストの一つIBAでは最高位を受賞。オレンジピールとハーブやスパイスの香りが繊細な余韻を生む味わいになっていて、ホップの苦みが効いた辛口のビールが苦手な人にも飲みやすい一品。「ITAMI BEER」には、ほかにチョコレートのような濃厚さが魅力の「ブラック」と今年春にデビューした日本酒酵母を使用する「アンバー」の3種類がそろう。六甲長尾山系伏流水で造るビールこそ、大人の夏の昼下がりに良く似合う。

雑味のないおいしさの秘訣

クラフトビールの醸造をはじめて約30年となる小西酒造。「ビール造りの工程でも、日本酒の仕込みに使う『かい棒』で麦芽の攪拌(かくはん)をするなど、随所に酒造りの技術が生かされています」と、クラフトビール課の下中さん。

小西酒造

煮沸時は、糖度や温度を見るなど、ほぼつきっきりで面倒を見る必要がある。「大変ですが、これもおいしいビールのため。少しでもおいしいものを造って届けたい」と一言。香りや甘味が楽しめる芳醇なクラフトビールは、ゆっくり時間をかけて味わいたい。

小西酒造
目標の糖度になるまで、細かに何度も確認、計算をする姿も。「ビールの出来上がりの瞬間はいつも楽しみです」と下中さん。
スポット名 小西酒造
問い合わせ 072-775-0524
URLhttps://www.konishi.co.jp/

ITAMI BEERの購入は小西酒造直営店の「白雪ブルワリービレッジ長寿蔵ショップ」などで。隣接した「白雪ブルワリーレストラン長寿蔵」では、料理と共にクラフトビールや日本酒もいただくことができる。

スポット名白雪ブルワリービレッジ長寿蔵
時間10:30~18:00
問い合わせ072-773-0524
アクセス阪急伊丹駅下車 約5分
住所伊丹市中央3-4-15【MAP
URL https://breweryrestaurant-chojukura.gorp.jp/

<天満切子>【大阪・天神橋筋六丁目】天満切子Gallery(ギャラリー)

やわらかな曲線が醸す自分だけの景色

天満切子
「ロックグラス十六縞 TYPEⅡ」4色 各19,800円
吹きガラスから、カット、磨くまですべて手作業で行う。特に色被(き)せガラスは手作業でしか作れず、1つとして同じものができない特別感が贅沢(ぜいたく)だ。

薩摩や江戸が知られるが、大阪にも切子がある。ガラス発祥の地で大阪天満宮近くには、ガラス工房が多く並んでいた。そんなガラスの街で作られているのが天満切子だ。天満切子の大きな特徴はかまぼこ彫りで、V字ではなくU字の彫刻刀でやわらかな線にカットする。

工房の職人は平均30代と若く、「天満切子らしさがあれば」と新しい感性でのモノづくりを推奨。かまぼこ彫りを生かしたモダンな柄が次々と生み出されている。

「アールがついた面が凹レンズのようになって、水を注ぐとグラスの中は1枚の絵のようになる」と「天満切子」3代目の宇良さん。その美しさに魅せられ、贈答目的で訪れても自分への購入も考える人が多いとか。

水を入れる前(左)と水を入れた後(右)。カットされた部分に底が映り込む。持った指さえ映らないから不思議だ。

「鑑賞の美もありますが、天満切子は使ってわかる用の美。普段使いして欲しいです」との言葉通り、飲み物を注げば、グラスの中は自らの手も映らず万華鏡のよう。今夏は切子で自分だけの特別な景色を堪能しては。

スポット名天満切子Gallery
時間13:00~19:00(土・日曜・祝日は11:00~)
定休日月曜休
問い合わせ06-6926-4443
アクセス阪急大阪梅田・天神橋筋六丁目各駅→地下鉄・天満橋駅下車 約4分
住所大阪市北区天満2-2-19【MAP
備考購入は天満切子直営の「天満切子Gallery」などで。
URLhttps://gallery.temmakiriko.com/

<地サイダー&ジンジャーエール>【大阪・能勢 】能勢酒造

豊かな緑に育まれたおいしい水のやさしいソーダ

地サイダー&ジンジャーエール
「桜川サイダー」330ml 172円、「能勢ジンジャーエール」250ml 151円
甘味があるのに、水本来のおいしさがわかる「桜川サイダー」と、少し辛口で甘さ控えめの上品な「能勢ジンジャーエール」。そのままでも、何かを割るものとしても使える老若男女に愛されるドリンクだ。

大阪市内から1時間と少しのところにある能勢の里山。そこに300年続く「能勢酒造」がある。ここでは、「とろりと甘い」と多くのプロの料理人やバーテンダーも認める桜川の天然水で、サイダーなどの炭酸水やアルコール造りが行われている。

能勢酒造

「おいしさを邪魔しない程度のミネラルが含まれているのが、うちの水」と話してくれたのはこの水で育った社長の子安さん。清涼感のある「桜川サイダー」と大人向けでショウガの効いた「能勢ジンジャーエール」は、夏にこそ飲みたい逸品。栓を開けた時は強く発泡するが、口にするとやわらかい。それでいて、開栓してからもガスがなかなか抜けないのだ。

能勢酒造

ゆったり時間が流れる能勢の空気をそのまま詰め込んだようなソーダで、やさしい時間を楽しみたい。

スポット名能勢酒造
問い合わせ072-735-2222
備考工場での購入は不可。阪急オアシスなどで購入可。
URLhttps://nosemizu.com/

<竹籠バッグ>【京都・大宮】竹工房 喜節

人の縁がつながって生まれた唯一無二の品

竹籠バッグ
(左から)「クラッチバッグ(チェーン付き)」、「セカンドバッグ」各88,000円 ※受注生産のみ。
幅2mmの竹ひごを200本以上使用して編まれる竹工芸。この竹ひご作りで、商品のできが8割方決まるという。3人体制で制作されていて、現在このバッグを注文してできあがるのは2023年1月ごろ。バッグ以外に、茶托(コースター)5客 30,000円や菓子鉢 12,000円なども注文できる。届くまでの時間も楽しみながら待ちたい。

「やりがいを直接感じられる仕事がしたい」と竹工芸を学ぶため、31歳の時に脱サラをして京都へ来た「竹工房 喜節」の細川さん。竹籠バッグは全国伝統的工芸品公募展で、内閣総理大臣賞を受賞するほど評価されているが、実際は苦労の連続だったとか。「最初は籠部分は良くても、それ以外の評価が厳しくて。今の評価は周囲の人のおかげなんです」と笑う細川さん。

「竹工房 喜節」細川氏

バッグの内装は機織りの仕事もしている奥様が、金具や真田紐は知り合いからと縁が縁を呼び、この竹籠バッグが生まれたという。竹職人は、竹割り3年、編み8年と計10年以上かかる厳しい道。「竹工芸職人は本当に少ない。京銘竹の知名度向上とこの業界への恩返しがしたいですね」。竹は経年で味わい深くなる素材、漆加工が施された軽くて丈夫なこのバッグと共に、時間の流れを楽しんでみて。

竹工房 喜節
スポット名竹工房 喜節
時間10:00~17:00
定休日不定休
問い合わせ075-406-0919
アクセス阪急大宮駅→市バス・千本丸太町停下車 約4分
または、市バス・丸太町智恵光院停下車 約4分
住所京都市上京区中務町486-66【MAP
備考工房見学は事前予約がベター。
暖簾が出ていれば、当日の工房見学も可の場合もあり。
URLhttps://takekobokisetsu.com/

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