京都・嵐山の紅葉の名所、常寂光寺。歌人に愛された秋景色【TOKK2021年11月号】

【TOKK2021年11月号】
背景を知ることで、情景が一層趣深くなる秋の紅葉。心の琴線にふれる、とっておきの紅葉を求めて出かけよう。

百人一首生誕の地で 定家ゆかりの寺を訪ねて

季節を問わず、風光明媚な景色が広がる嵐山。平安時代には多くの貴族が癒やしを求め、こぞって別荘を作ったという京都屈指の景勝地だ。

紅葉に染まる常寂光寺

嵐山はまた、数々の歌の舞台としても有名。古くから美しい風景に惹かれて多くの歌人が訪れてきたが、平安から鎌倉時代にかけて活躍した藤原定家もその一人。かつて定家が別荘とした時雨亭(しぐれのちん)の場所には諸説あり、小倉山中腹に立つ常寂光寺のほか、その近辺で計3カ所が伝わっている。

定家はこの時雨亭で「百人一首」を編纂(へんさん)したといわれ、歌の中には嵐山の紅葉を愛でるものも。その一首は、常寂光寺の境内で、歌碑に刻まれている。

― 小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば 今ひとたびの みゆき待たなむ

(小倉山の峰の紅葉よ。人間の気持ちがわかるのならば、もう一度天皇が行幸されるまで、散らずに待っていてくれないか)。

宇多上皇がこの地を訪れたとき「天皇(我が子)にもこの景色を見せたいものだ」と言ったのを、付き人であった貞信公(ていしんこう)が詠(よ)みあげた一首。秋の嵐山がいかに美しく、人々の心を打ったのかがひしひしと伝わってくる一首だ。

常寂光寺の境内でも、葉が色とりどりに染まっては散っていく。はかなくも美しい景色を眺め、歌に込められた思いを感じてみては。

(左)境内最奥にある、時雨亭跡の石碑。
(右)100人の和歌が集められた『百人一首』は、『古今和歌集』や『新古今和歌集』など、勅撰和歌集の中から選ばれている。
スポット名常寂光寺
料金大人500円、小人(小学生)200円
時間9:00〜17:00(受付は〜16:30)
問い合わせ075-861-0435
アクセス阪急嵐山駅→市バスまたは京都バス・嵯峨小学校前停下車 約9分
住所京都市右京区嵯峨小倉山小倉町3 【MAP
URLhttps://www.jojakko-ji.or.jp/

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