【TOKK2021年11月号】
歴史紅葉の名所やスポットの歴史を知ることで、情景が一層趣深くなる。心の琴線にふれる、とっておきの紅葉を求めて出かけよう。

＜阪急京都線＞千年の都に受け継がれる紅葉

秋の行楽と聞いて、京都を思い浮かべる人は多い。それはこの地に、はるか昔から古人に愛されてきた景色が残るからだろう。

市街地から離れて、心静かに秋を感じるなら洛西エリア。点在する寺院には、歴史上の人物のエピソードが光る。特に、紫式部が愛した大原野の地は平安時代から紅葉の名所であり、『新古今和歌集』には、歌人・藤原伊家（これいえ）が大原野神社の紅葉を詠んだ歌が編纂されている。

時代を下り、戦国の世における紅葉に思いを巡らせるなら、豊臣秀吉が築いた御土居をもみじが彩る北野天満宮へ。秀吉が大規模な茶会「北野大茶湯」を紅葉シーズンに開催した北野は、都の中でも遊興の地として親しまれ、錦秋の北野松原は秀吉も目を見張ったとされるほど。当時の紅葉がいかに美しかったかということが想像できるだろう。

嵐山を借景とした夢窓疎石作の庭園が美しい天龍寺、秋に本尊や観経曼陀羅（かんぎょうまんだら）の特別公開を控える真如堂…。名所を挙げればきりがないが、そのどれもが、古くから日本人の心に訴えかけてきた美景に違いない。各地の由緒を知り、当時の人々に思いを馳（は）せ、今年は一味違う情景を感じたい。

【東向日駅】紫式部が愛でた地の秋景色「大原野神社」

「紅葉ライトアップ」11月20～23日17：00～20：00（予定）／無料

スポット名	大原野神社
料金	境内無料
問い合わせ	075-331-0014
アクセス	阪急東向日駅→阪急バス・南春日町停下車 約7分
住所	京都市西京区大原野南春日町1152【MAP】
URL	http://oharano-jinja.jp/

【京都河原町駅】散もみじが美しい洛東の隠れ寺「真如堂」

「御本尊御開帳」11月6〜15日

スポット名	真如堂
料金	境内無料。 書院・庭園は大人1,000円、中学生900円 （12月6日以降、書院・庭園は大人500円、中学生400円）
時間	9：00～16：00（受付は〜15：45）
問い合わせ	075-771-0915
アクセス	阪急京都河原町駅→市バス・錦林車庫前停下車 約5分、 または真如堂前停、または浄土寺停下車 約7分
住所	京都市左京区浄土寺真如町82【MAP】
URL	https://shin-nyo-do.jp/

【嵐山駅】錦秋の嵐山をまとう夢窓疎石の庭園「天龍寺」

スポット名	天龍寺
料金	庭園参拝料：一般500円、小中生300円（諸堂の参拝は300円追加）
時間	8：30～17：00（16：50受付終了。諸堂の参拝は〜16：45〈16：30受付終了〉）
問い合わせ	075-881-1235
アクセス	阪急嵐山駅下車 約15分
住所	京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町68【MAP】
URL	http://www.tenryuji.com/

【西院・大宮・嵐山駅】一面真っ赤に染まる御土居のもみじ苑「北野天満宮」

「史跡・御土居のもみじ苑」
10月30日〜12月5日9：00〜16：00（15：40受付終了）／大人1,000円、小学生以下500円（茶菓子付き）、
「もみじ苑ライトアップ」
11月13日〜12月5日 日没〜20：00（19：40受付終了）／料金は上記と同じ

スポット名	北野天満宮
料金	境内無料
時間	6：30〜16：00
問い合わせ	075-461-0005
アクセス	阪急西院・大宮各駅→市バス・北野天満宮前停下車すぐ、 または阪急西院・大宮・嵐山各駅→嵐電・北野白梅町駅下車 約7分
住所	京都市上京区馬喰町【MAP】
URL	https://www.kitanotenmangu.or.jp/

【上桂駅】猪目窓に切り取られる“竹の寺”の秋「地蔵院（竹の寺）」

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スポット名	地蔵院（竹の寺）
料金	一般500円、小中高生300円
時間	9：00〜16：30（受付は〜16：10）
問い合わせ	075-381-3417
アクセス	阪急上桂駅下車 約13分
住所	京都市西京区山田北ノ町23【MAP】
URL	http://takenotera-jizoin.jp/

【長岡天神駅】法然ゆかりの地に延びるもみじ参道「総本山光明寺」

「紅葉の特別入山」11月13日〜12月5日／一般1,000円、中学生以下無料
※駐車場なし。公共交通機関を推奨。

スポット名	総本山光明寺
料金	境内無料（11月13日〜12月5日は下記参照）
時間	9：00〜16：00
問い合わせ	075-955-0002
アクセス	阪急長岡天神駅→阪急バス・旭が丘ホーム前停下車すぐ
住所	長岡京市粟生西条ノ内26-1【MAP】
URL	https://komyo-ji.or.jp/

＜阪急宝塚線＞ ひっそりと秋色に染まる社寺を参拝

宝塚線の駅からひと足延ばして、自然豊かな北部へ。静けさをたたえる寺社仏閣では、脈々と受け継がれた物語が待っている。

例えば清和源氏発祥の地として知られる川西市の満願寺は、奈良時代に創建された古刹（こさつ）。源氏一門の祈願所として栄えたことで有名だが、ここには清和源氏の基礎を築いた武将・源 満仲の末子でありながら、不勉強のため父親から処刑を宣告された美女丸と、満仲の家臣の息子で、美女丸の身代わりに命を差し出した幸寿丸の、悲しい伝説が伝わっている。物語を知ると、境内の紅葉がどこか切ない風情を持ち、しみじみと感慨深い。

同じく源氏に縁があるのが、川西市の多田神社。源 満仲が建てた「多田院」が起源であり、祭神には名だたる源氏の武士たちが名を連ねる。社殿に大きな枝を差しかける楓に栄枯盛衰の風情が漂う、静かな紅葉スポットだ。

このほか、秀吉が秋に月見茶会を行い、その景色に感動したという久安寺など、山間に点在する紅葉スポットにも、味わい深い物語が残る。鮮やかな景色や壮大なスケールも魅力的だが、あえて静かな社寺を訪れて、歴史を紐解きながら紅葉を愛でるのも良い。

【能勢電車】清和源氏の栄華に思いを馳せる紅葉狩り「多田神社」

スポット名	多田神社
料金	境内無料
時間	6：00〜17：00
問い合わせ	072-793-0001
アクセス	阪急川西能勢口駅→能勢電車・多田駅下車 約17分、 または阪急川西能勢口駅→阪急バス・多田神社前停下車すぐ
住所	川西市多田院多田所町1-1【MAP】
URL	http://www.tadajinjya.or.jp/

【雲雀丘花屋敷・川西能勢口駅】山間に包まれた奈良創建の古刹「満願寺」

スポット名	満願寺
料金	金堂内拝観料：300円、里山入場料：100円
時間	9：00〜16：00
問い合わせ	072-759-2452
アクセス	阪急雲雀丘花屋敷駅下車 約30分、 または阪急雲雀丘花屋敷・川西能勢口各駅→阪急バス・満願寺停下車すぐ
住所	川西市満願寺町7-1【MAP】
URL	http://www.manganji.jp/

【能勢電車】北極星信仰の聖地に秋の参詣「能勢妙見山」

※妙見の森ケーブル・リフトは12月6日〜冬期運休。

スポット名	能勢妙見山
料金	境内自由
時間	9：30〜16：00
問い合わせ	072-739-0991
アクセス	阪急川西能勢口駅→能勢電車・妙見口駅→阪急バス（または徒歩）→妙見の森ケーブル →妙見の森リフト・妙見山駅下車 約10分
住所	豊能郡能勢町野間中661【MAP】
URL	http://www.myoken.org/

【池田駅】行基開創、北摂の古寺で庭園観賞「久安寺」

「大般若経転読法要」11月21日11：00〜12：00、
「文化財公開」11月21日12：00〜15：00

スポット名	久安寺
料金	300円
時間	9：00〜16：00
問い合わせ	072-752-1857
アクセス	阪急池田駅→阪急バス・久安寺停下車すぐ
住所	池田市伏尾町697【MAP】
URL	http://kyuanji.jp/

＜阪急神戸線＞ 六甲山と大阪湾に抱かれた雄大な秋

神戸線には、秀吉が「いくら見ても飽きない」と絶賛した紅葉がある。『日本書紀』や『古事記』にも登場するほど古い歴史を持つ、有馬温泉界隈の紅葉である。明治6（1873）年に廃寺となった、瑞宝寺の跡地にできた瑞宝寺公園は、秀吉が度々訪れ、紅葉に見惚れたことから「日暮しの庭」「錦繍（きんしゅう）谷」とも呼ばれ、紅葉を眺めながら楽しんだ石の碁盤も残っている。秀吉が千利休と茶会を開催したことを偲（しの）んで開催される「有馬大茶会」（今年度は中止）は、有馬温泉に秋の盛りを告げる一大風物詩だ。

また、神戸線の紅葉を語るうえでは、10月中旬から葉が色づく六甲山の紅葉も欠かせない。六甲山は、江戸末期には草木がなくなり、一度は岩肌すら見える有様になったそうだが、明治以降に植林されて今のような色鮮やかな紅葉が楽しめるようになった。

六甲山に包まれた立地で、美しい景色が楽しめる西宮市北山緑化植物園、山と合わせて急ぎ足で秋の装いを見せ始める六甲高山植物園など、長い年月に育まれた景観を受け継ぐ紅葉の名所の数々。秋空の下、自然を借景にした開放的なスポットで、澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込みたい。

【神戸電鉄】錦繍の美に豊臣秀吉を偲ぶ「瑞宝寺公園」

スポット名	瑞宝寺公園
料金	入園自由
問い合わせ	078-904-0708（有馬温泉観光案内所）
アクセス	神戸電鉄・有馬温泉駅下車 約20分
住所	神戸市北区有馬町【MAP】
URL	http://www.arima-onsen.com/facility_info103.html

【六甲駅】六甲山上で一足早い秋景色を「六甲高山植物園」

「夜の紅葉散策」、「ザ・ナイトミュージアム」
10月30日〜11月23日17：00〜18：30（土・日曜・祝日は〜20：00。受付は各30分前まで）／参加無料。荒天中止。

スポット名	六甲高山植物園
料金	大人（中学生以上）700円、小人（4歳～小学生）350円、3歳以下無料
時間	10：00～17：00（受付は〜16：30）
定休日	無休（営業は〜11月23日）
問い合わせ	078-891-1247
アクセス	阪急六甲駅→市バス・六甲ケーブル下停→六甲ケーブル・六甲山上駅 →六甲山上バス・高山植物園停下車すぐ
住所	神戸市灘区六甲山町北六甲4512-150【MAP】
URL	https://www.rokkosan.com/hana/

【山陽電車】華麗なる一族「岡崎財閥」から伝わる美景「神戸市立須磨離宮公園」

「第19回 もみじ観賞会」11月20日〜12月12日（予定）

スポット名	神戸市立須磨離宮公園
料金	一般400円、小中生200円
時間	9：00～17：00
定休日	木曜休（11月4・11・25日、12月2・9日は開園）
問い合わせ	078-732-6688
アクセス	神戸高速線・新開地駅→山陽電車・月見山駅下車 約10分
住所	神戸市須磨区東須磨1-1【MAP】
URL	https://www.kobe-park.or.jp/rikyu/

【夙川・甲陽園駅】多彩な植物が織りなす秋の共演「西宮市北山緑化植物園」

スポット名	西宮市北山緑化植物園
料金	入園自由
定休日	無休（緑の相談所・温室・北山山荘は10：00〜16：00、 水曜休〈祝日の場合は開館、翌日休〉）
問い合わせ	0798-72-9391
アクセス	阪急夙川駅→阪急バス または さくらやまなみバス・柏堂町停下車すぐ、 または阪急甲陽園駅下車 約30分
住所	西宮市北山町1-1【MAP】
URL	https://www.nishi.or.jp/kotsu/kankyo/hanatomidori/shokubutsuen/index.html

新型コロナウイルス感染防止対策を行いながら、取材・撮影をしております。