「大阪天満宮」は学問や芸能の神様・菅原道真公を祀る神社。大都会キタの神域へ
2024.03.25おでかけ
大阪の人々に「天満の天神さん」と親しまれてきた大阪天満宮。大阪梅田から約2㎞、徒歩だと約30分。阪急大阪梅田駅から地下鉄(Osaka Metro)を利用すれば、10~15分程で到着する。
大阪天満宮は古くから多くの崇敬を受けてきた、大都会・大阪の神域。夏の一大祭り・天神祭でも全国的に知られている。
目次
大阪天満宮の見どころ
地下鉄・南森町駅から歩いてすぐ、迫力ある「表大門」が参拝者を迎える。こちらが御祭神に菅原道真公を祀る「大阪天満宮」。
表大門の上部に掲げられた大注連縄と、十二支が刻まれた方位盤に目が留まる。十二支の酉(とり)は一般的に鶏を指すが、大阪天満宮の場合は鳳凰。菅原道真公が鶏嫌いだったという言い伝えによるのだという。
権現造(ごんげんづくり)の本殿があるのは、境内の中央。御祭神には学問や芸能の神様・菅原道真公が祀られている。本殿は南北朝、戦国、江戸と何度も焼失するが、広報の三宅さんによると「その度に天神様を敬う人々の力で再建されてきました」とのこと。現在の本殿は、天保14(1843)年に再建されたもの。
本殿の両側にはそれぞれ「東登竜門」「西登竜門」がある。普段は開かずの扉だが、「通り抜け参拝」といい、毎年1月から3月初旬にかけて数回、東登竜門から西登竜門を通り抜けて本殿内部を参拝できる。試験合格祈願などのお守り、もしくは御祈祷を受けた人のみが参拝できる貴重な機会だ。
中国の黄河には「竜門と呼ばれる急流を登りきった鯉は竜になれる」という伝承があり、これが日本に伝わり、学問・出世の神様・菅原道真公と結びついたことで「通り抜け参拝」になったと考えられる。登竜門の伝承にあやかり、関門突破を祈願してみては。
大阪天満宮といえば、名水「天満天神の水」も古くから参拝者に親しまれている。「天満天神の水」は、江戸時代には「大阪四清水」のひとつに数えられるほど、おいしいと評判だった。一時は地下水が枯れたと思われたが、2014年に復活。現在は毎月1・10・25日の3日間だけ扉が開き、取水できるようになっている。軟水特有のまろやかさがあり美味なのだという。
参拝の際は、境内に複数点在している摂末社にもお参りしたい。この「大将軍社」は、都の西北を守る神として650年に創建された。大阪天満宮がこの地に創建されたのは、それから約300年後のこと。天満宮創建前からこの地を見守ってくれていたということだ。
こちらはお稲荷さんを祀る「白米社」。「はくまい」かと思いきや、読み方は「しらよね」。創祀などは不詳。建物内部には「狐・天狗の爪研ぎ石」という何とも不思議な佇まいの石が納められており、独特な雰囲気を味わえる。
「霊符社(れいふしゃ)」は、厄除けや延命長寿などのご利益で知られる天地創造の神様・天御中主神(アメノミナカヌシノカミ)を祀る。
ほかにも様々なご利益の摂末社があるため、境内をゆっくりと巡りたい。
屋内展示のある学問所「梅香学院」1階ギャラリーにも立ち寄ろう。菅原道真公の生涯と天満宮の縁起が、博多人形などの資料展示により、分かりやすく解説されている。
境内を歩いていると、菅原道真公ゆかりの神牛像にも出合える。撫で牛信仰ゆえか、頭や脚の部分はツルツル。
そして蛭子門の左手には「大阪ガラス業発祥の地」の碑。左上部にはめ込まれたカットガラスがきらりと輝く。江戸時代から昭和中期まで、大阪に数多くのガラス工場があった歴史を物語っている。
縁結びのパワースポットとして話題を呼んでいるのは、境内最北にある、星合池に架かる星合橋。
かつてこの辺りに、星合池・七夕池・明星池という「天満三池」があった。そのうち現存するのは星合池のみで、天満宮の創建時に「水面に霊光が映った」という逸話が残る。
昔は星合橋の上でお見合いが行われていたことから「愛嬌橋」とも呼ばれ、橋の上で出会った男女が結ばれるという良縁祈願の名所となった。
星合池に足を運ぶ際は、ぜひ「願い玉」を手に取ろう。願いを込めた「願い玉」を星合池の梅形の的に向かって投じ、それが願いごとに応じた色の花びらに載れば、願いが成就するという。
お目当ての花びらに載せるのはなかなか難易度が高いとのウワサだが、縁結びの願いを込めてチャレンジを。
大阪天満宮の歴史とご利益
大阪天満宮の歴史やご利益も紐解いていこう。大阪天満宮の起源は、西暦650年に遡る。孝徳(こうとく)天皇が、かつて摂津国難波にあった「難波長柄豊崎宮(なにわのながらのとよさきのみや)」へ遷都した際、都の西北の守護神として「大将軍社」を創建した。
それから250年後の901年、菅原道真公が大宰府へ向かう道中に「大将軍社」を参拝し、旅の無事を祈願される。903年に道真公は大宰府で亡くなるが、時を経て949年に「七本松の奇端」が起こる。
三宅さんによると「949年、大将軍社の前に一夜にして七本松が生え、夜毎にその梢を光らせたといいます。村上天皇は『道真公ゆかりの奇端である』と勅命を出し、その場所に神社を創建。道真公の御霊をお祀りし、それが大阪天満宮となりました」とのこと。
つまり大将軍社は、大阪天満宮創建のきっかけともいえるお社なのだ。大将軍社は現在も境内に立っている。こちらも必ずお参りしよう。
戦国時代以降、大阪が商都として成長し、江戸時代元禄には町衆文化が勢いを持つと共に、大阪天満宮は大阪庶民の生活に密着した存在になる。創建から千年以上もの年月が経った現在も、学問・芸能などの神様として、大阪天満宮には全国各地から参拝者が訪れる。
大阪天満宮の授与品(お守りや御朱印)
本殿東側にある授与所にて、お守りや御朱印などを授与していただくことができる。
お守りは、梅の香りがする「咲き守り」や、道真公の縁日の毎月25日のみ授与される「天御守(あめのおまもり)」など30種類以上。華やかな切り絵御朱印にもご注目を。
菅原道真公にちなみ、梅の花をかたどった絵馬も。毎年お正月には、梅の実(梅干)が縁起物「幸梅」として授与されるなど、特別な時期のみ授与されるものもある。
大阪天満宮では合格祈願や厄除け、お宮参りなどの御祈祷も受けられる
大阪天満宮では、初宮詣・試験合格・厄除け・学業成就・交通安全・七五三詣・商売繁昌・お子様の撰名など、様々な御祈祷を受けることができる。個人諸祈祷は予約不要。当日授与所にて受付し、所要は通常約1時間となる。
大阪天満宮の祭事「天神祭」
7月24日・25日には、日本三大祭のひとつ「天神祭」が斎行される。
天神祭の起源は、951年に始まった「鉾流神事(ほこながししんじ)」。「鉾流神事」とは、大川より神鉾を流し、神鉾が流れ着いた場所に祭場を設けて神様をお迎えし、禊祓(みそぎばらい)をすることで世の中の平安と無病息災を祈るもの。
江戸時代元禄頃になると、天神祭では陸渡御や船渡御が行われるようになり、「日本三大祭の随一」と称されるようになる。
三宅さんによると「コロナ禍には船渡御と奉納花火を取り止めましたが、その時期にも鉾流神事や陸渡御は続けていました。ライブ配信もしていたんです」と、混乱の世に合っても祭りは続けられてきた。天神祭は今年も斎行予定。満ちあふれる活気や熱気に包まれながら、大阪のまちの賑わいを体感したい。
大阪天満宮の基本情報(拝観時間、拝観料、アクセスなど)
大阪天満宮へのアクセスは、阪急大阪梅田駅または天神橋筋六丁目駅から地下鉄(Osaka Metro)に乗り、南森町駅を下車、そこから徒歩すぐ。近くには天神橋筋商店街などもある賑やかなエリア。
スポット名 | 大阪天満宮 |
料金 | 境内自由 |
時間 | 6:00~18:00(社務所は9:00~17:00) |
問い合わせ | 06-6353-0025 |
アクセス | 阪急大阪梅田・天神橋筋六丁目各駅→地下鉄・南森町駅下車すぐ |
住所 | 大阪市北区天神橋2-1-8【MAP】 |
URL | https://osakatemmangu.or.jp |
まとめ
取材を終えて「天満の天神さんは、千年の時をかけて私達を護ってくれてはるんやなぁ」と。取材日は「盆梅展」が開催中。大阪天満宮では、忍者フェスタや大阪プロレスなど面白いイベントがたびたび行われているそう。さらには、上方落語専門の定席「天満天神繁昌亭」も隣接しており、楽しみ方はまだまだある。
大阪天満宮は2027年の「菅原道真公 1125年大祭」に向けて、屋根の葺き替えや宝物殿の建立を目指しているそう。天神祭渡御行事保存の協賛も募集中とのこと(詳細はホームページへ)。
取材と学習のその果てに、天満の天神さんは「私の天神さん」になりました。
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