迫力ある訓練動画が話題! 吹田市消防本部の公式SNS
2025.06.13吹田
大阪府北部に位置する吹田市は、万博記念公園などの豊かな自然や鉄道駅の多いアクセス便利な街として知られます。この街で市民の安全を守り陰から支える吹田市消防本部のSNSが、巷で話題に。Instagramでは約17万人のフォロワーから支持を集めています。吹田市消防本部でそのSNSを担当している総務予防室の貴島洋さんにお話を伺いました。

吹田市消防本部 総務予防室 企画グループ 貴島洋さん
昭和57(1982)年生まれ、吹田市出身。小学校の時に同じく吹田市の消防士だった父親が火災の現場で消火活動を行う姿を見て憧れ、同じ道を進む。現場で経験を積み、今年で5年目となる総務予防室では広報などを担当。小学校に通う2人の娘の父親でもある。趣味はサッカー。
知られざる消防の日常をSNSで発信
「普段はあまり目にすることがない消防の日常を投稿することで市民の皆さんに安心感を持ってもらえたり、消防職員のモチベーションアップにつなげられたらと思ってSNSを始めました」と話す貴島さん。
吹田市長に積極的な発信を勧められたこともきっかけとなり、令和4(2022)年の4月に吹田市消防本部の公式SNSアカウントを立ち上げました。
総務予防室 企画グループが担当となり、貴島さんと、現在は異動となった森田さん、藤田さんで始動しました。

「私自身Instagramは見るだけで投稿したことがなかったので、見よう見まねで始めた感じですね。当初は試行錯誤しながら記事を作成していました」。
投稿内容に特別なルールを設けてはいないそうですが、レスキュー隊や消防隊の訓練を中心に消防音楽隊の練習風景、消防車の点検の様子など、消防署の日常が映し出されています。
臨場感が伝わるようにと動画をメインに作成しており、音楽を効果的に使ったりSNSが多く利用されている時間帯に投稿したりするなどの工夫もしているそう。
隊員たちがリズミカルにダンスをする動画もあり、楽しそうな姿になんだかなごみます。



「消防は堅いイメージがあるかと思いますので、そういうのを払拭できたらなという気持ちもあります。普段の消防の様子やオンとオフの両方の姿も知ってもらうことで、もっと私たちを身近に感じてもらえたらうれしいですね」。
迫力ある救出訓練がバズり、フォロワーは17万人に
SNSを始めた最初の年は、Instagramのフォロワー数は1,500人。それもなかなかの数ですが、昨年の令和6(2024)年に一気に増えたそうです。
そのきっかけとなった、いわゆるバズった投稿が、令和6(2024)年6月9日にアップされたレスキュー隊がロープブリッジ救出訓練を行っている動画。
ロープブリッジ救出とは毎年夏に開催される全国消防救助技術大会の種目のひとつであり、数名でチームとなりロープを使って対面する建物に渡り要救助者を救出するものです。
動画では水平に張られた長いロープに吊り下がり、向かいの塔に渡っていく様子を見ることができます。
驚くべきはそのスピード! 装具のロープをすばやく装着して協力し合い、勢い良く渡る様子は一瞬のできごとのよう。手際の良さと動きの速さに迫力を感じます。

「なぜこの動画がバズったのか理由はわかりませんが、反響はすごくありました」と貴島さん。
この投稿の再生回数は3,030万回、コメント数は5,300以上。「かっこいい」や「こんなことができるなんてすごい」といった賞賛のコメントで埋められています。
この投稿をきっかけに吹田市消防本部がテレビ番組で取り上げられるなど、世間の注目が高まりました。そして令和7(2025)年5月現在、フォロワー数は17万人を超えています。フォロワーは吹田市民はもちろん、日本のみならず海外の方も多いのだそう。
吹田市消防本部のInstagramでは他にも災害現場のさまざまな障害が想定された障害突破など、全国消防救助技術大会に向けて練習に励む投稿が人気で、本番さながらの真剣な姿が多くの人を引きつけています。

注目されることにプレッシャーを感じることもあるそうですが、寄せられるコメントやメッセージが何よりの励みになると語ります。
「お子さんと一緒に家族で見ているという話もよく聞きます。『この動画がきっかけとなり、子どもが将来は消防士になりたいと言っています』というコメントが一番心に響きました」と父親でもある貴島さんが素顔をのぞかせます。
映えない業務からも消防の理解を高められるように
吹田市消防本部がInstagramで投稿しているすべての記事には「#映える吹田消防」のタグ付けが見られます。このハッシュタグは一般の方の投稿にも活用してもらうように促しているのだとか。
市民の方も参加して一緒に盛り上げてもらい、その記事をリポストすることで消防の活動をより幅広く伝えるという目的があるそうです。
映える投稿を意識しつつも、今後は消防の別の一面も知ってもらいたいと貴島さんは話します。
「消防というと火消しや救急のイメージが強いと思いますが、それ以外の仕事もたくさんあります。消火栓などの設備の日々の点検や、公共施設での避難訓練の実施、人事・予算などの総務的な業務といった地味な業務にも焦点を当てたいですね」。


貴島さんが所属する総務予防室は普段現場に駆けつけることはありませんが、消防を陰から支え市民とのパイプ役にもなる重要な部署。SNSを始めとした広報に関することや採用などの人事、予算など業務は多岐に及びます。
「吹田市には南消防署と北消防署、西消防署、東消防署の4つの消防署、南千里には昨年の令和6(2024)年に完成した吹田市総合防災センター(通称DRC Suita)があります。これからもそれぞれの消防署の署員にも協力してもらいながら、多方面から消防を発信していきたいと思っています」。
インパクトある訓練動画や飾らない日常風景で、今後も私たちも魅力してくれそうです。
この記事を取材したのは ライター A子
愛知県出身京都在住。京都が好きで移り住んで約20年。
制作プロダクションでの編集を経て、ライターとして独立。
京都の酒場巡りが好きで、主に御所周辺や出町柳エリアに出没。

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