「服部天神宮」は足の神様を祀る神社。歴史やご利益、授与品、祭事まで詳しく紹介

大阪府豊中市にある「服部天神宮」は、足の神様を祀る神社。足の健康を願う人をはじめ、スポーツに携わる人やスポーツ選手のファンなど様々な参拝者が訪れます。

靴紐に通すことで運動時にも身につけられるお守り「足守(あしまもり)」や、足の健康を祈願する祭事「服部足祭り」など、ユニークな取り組みも多い同社について、現地で取材してきました!

服部天神宮の歴史やご利益

「足の神様」として篤い信仰を集める服部天神宮。その歴史は古く、医薬の神・少彦名命(すくなひこなのみこと)を小さな祠に祀ったことに始まる。

服部天神宮 本殿

のちの901年、菅原道真公が左遷先の太宰府へ赴く道中で足の病に襲われ、村人のすすめで少彦名命を祀る小さな祠(のちの服部天神宮)へお参りすることに。

道真公はその祠の近くに、百年程前に同じく太宰府へ左遷される途中で病に臥され、この地でお亡くなりになった藤原魚名(ふじわらのうおな)公のお墓があることを知り、祠へ足病平癒を祈願されるとともに、藤原魚名公の御神霊もていねいに弔われた。すると道真公の病が不思議と快調し、無事に太宰府へ到着されたのだという。

以来、その小さな祠(のちの服部天神宮)は足の神様としても信仰されるようになり、後年に社殿が造営され現在に至る。

服部天神宮 下駄回廊

服部天神宮禰宜(ねぎ)の加藤大志さんは、「人生100年時代、足の健康はますます大切なことだと思います。日本では足の健康に対する注目度はまだまだ低いと感じていますが、ドイツでは子どもの健康手帳に靴についてのチェック項目があるなど、生まれてすぐの頃から足の健康も重視されているんですよ。足が不調な方はもちろん、いまの足の健康を守っていきたい方も、ぜひ当社にお参りください」と話す。

服部天神宮の境内をぐるりと一周お参りしました

本殿

服部天神宮を訪れたら、まずは少彦名命と菅原道真公を祀る本殿へお参りしよう。

現在の本殿は明治時代に建てられたもので、建物手前の部分は昭和期に増築された。「魔よけの色」として信仰される華やかな朱色が印象的だ。

服部天神宮 本殿

草履堂

参道脇には、大量のわらじ草履が積み重なるように納められているお堂がある。こちらは「草履堂」といい、お堂の中に納められたわらじ草履は、お礼参りや足の神様に願いを捧げる証として奉納されたもの。

服部天神宮 草履堂

なかには約1mの特大草履も奉納されており、「うちにはこんなに大きな者がいる」という魔よけの意味合いで、民家などに飾られていたものだという。

服部天神宮 草履堂

草履堂には、鉄製わらじや可愛らしい約1cmのミニわらじなども奉納されている。創意工夫されたデザインは見た目にも楽しく、さながらわらじ草履の作品展のよう。わらじ草履は、古いもので天保(江戸時代)の代物なのだとか。

服部天神宮 草履堂

「わらじ草履には、知恵が詰まっているなと思います。鼻緒があることで足の指に力が入るので、足の健康にも役立ちます」と加藤さん。

下駄回廊

服部天神宮 下駄回廊

参道を歩いていると、「下駄回廊」に目が留まる。その名のとおり、色とりどりの下駄がつるされた回廊が参道に設置されており、中をくぐり抜けることができる。初詣シーズンなど一部の期間には設置していない場合があるためご承知おきを。

服部天神宮 下駄回廊

風になびく下駄が、カランコロンと音色を奏でる。加藤さんによると「昔から『下駄のカランコロンという音色が、神様に願いを届けてくれる』と考えられてきました。 設置している下駄は、約230個。信徒の方々にもご協力いただきながら、手作りしています。下駄の鼻緒には、着物会社さんからご提供いただいた生地を使用し、色の並び順はカラーコーディネーターさんに決めていただくなど、皆で作り上げています」とのこと。

菅原道真公の像

服部天神宮 藤原道真公像

境内には、菅原道真公の像もある。服部天神宮には、菅原道真公にあやかり学業成就・合格祈願のご利益をもとめて訪れる参拝者も多い。さらには、服部天神宮と縁深い「藤原魚名公の墓」も残されている。

服部天神宮 藤原魚名公墓

足踏み石祈願台座

そして、24時間いつでも利用できるのが「足踏み石祈願台座」。履物を脱いで祈願台座に座り「二礼二拍手一礼」。本殿に向かいお祈りすると、健脚のご利益を授かれる。

服部天神宮 足踏み石祈願台座

豊中えびす神社

服部天神宮を訪れたらあわせてお参りしたいのが、境内にある「豊中えびす神社」。この建物はもともと1950年、阪急花屋敷駅(現・雲雀丘花屋敷駅)にあるサントリー創始者・鳥井氏の邸宅内に建てられた「繁昌稲荷社」の神殿だったもの。

当時の服部天神宮の宮司が「繁昌稲荷社」の祭典を奉仕していた縁から、「繁昌稲荷社」の建て替えを機に、服部天神宮が神殿を譲り受けることとなった。

服部天神宮 豊中えびす神社

いまでは「豊中えびす神社」は商売繫盛のご利益で知られる。

お金はまるで足があるように動く事から、昔はお金を「おあし」と呼んでいた。「足の神様=お金の神様」に繋がるとして、西宮神社より商売繁盛の神様として崇敬されるえびすさまの御神霊を勧請し、この「豊中えびす神社」に祀ったのだそう。

縁起が書かれた立て看板

服部天神宮 縁起看板

境内を歩いていると、縁起が描かれた立て看板を見つけた。イラスト付きでわかりやすく解説されているので、じっくり読んでみてほしい。

服部天神駅の御神木

ところで、服部天神宮の最寄り駅である阪急「服部天神駅」のホームに、服部天神宮の御神木があるのをご存じだろうか。

服部天神駅 御神木

服部天神駅は、現在も多くの乗客が利用している駅。駅舎の屋根よりも高く伸びて立つ御神木の姿は、なかなかにインパクトがある。

服部天神宮はかつて今よりも敷地が広く、現在の服部天神駅のある場所は、箕面有馬電気軌道が開通するまで服部天神宮の境内地だった。箕面有馬電気軌道が開通する際、地域の方からの要望もあって御神木はこの地に残されることになり、樹齢は現在100年以上になるそうだ。

服部天神宮の祭事

服部天神宮で行われている祭事の一部もご紹介。ぜひ足を運んでみて。

【1月】豊中えびす祭

毎年1月9日~11日に行われるお祭りで、新春の風物詩として親しまれている。昨年いただいた縁起物をお返しして新しい縁起物をいただくことで、一年の商売繁盛を祈願するというもの。当日は「福笹」や「熊手」などの縁起物を手にした多くの参拝者で賑わう。

服部天神宮 豊中えびす祭

福徳を人々に授ける「福娘」発祥のお祭りともいわれており、毎年35万人もの参拝者が訪れる北摂屈指の「えべっさん」となっている。

【8月】足の守護祈願大祭

足の神様をお祀りする服部天神宮では、菅原道真公の月命日である25日に夏のお祭りとして、「足の守護祈願大祭」を行っている。

服部天神宮 夏天神祭

「足の守護祈願大祭」は神職が参拝者に特大金幣を授け、人形(ひとがた)で足をさすって足の病気治癒や健脚を祈願する、「足の神様」ならではのお祭り。8月限定で健脚・疫病退散が祈祷された「特別わらじ守」が授与されるので、気になる方はぜひチェックを。

【9・10月】服部足祭り

「歩く喜びや走る面白さを、いつまでも感じられる日々が続いてほしい」という想いから生まれたユニークなお祭り。9月下旬から10月上旬に開催されている。

服部天神宮 服部足祭り

体幹を鍛える一本歯下駄体験、足形測定器での足診断、旅シューズやわらじ体験など、さまざまな角度から足のことを考えた催し物が登場。当日限定の縁起物やおみくじも授与される。

服部天神宮 服部足祭り

色とりどりの鼻緒が美しい「下駄回廊」の短冊も、この期間は足祭り仕様に。様々な催しを楽しみながら、足の健康を祈願しよう。

服部天神宮 服部足祭り

服部天神宮の授与品(お守り)

服部天神宮では、お守りやおみくじ、御朱印など様々な授与品が用意されている。 服部天神宮ならではの授与品といえば「足守」。

服部天神宮 足守

参拝者が本当に求めている授与品を作りたいと考えた加藤さんが、多くのランナーに話を聞き、生み出したのがこの「足守」。靴紐に通すことで運動時も身につけられる、小さくて軽い丈夫なお守りとなっている。「中央の梅の花模様には『梅が花開くように、皆さんの願いも花開くように』との想いを込めました」と加藤さん。

服部天神宮 健脚健康草履守

同じく足の健康を祈願するお守り「健脚健康草履守」は、小さな草履がキュート。いくつかある授与品の中から、自分の願いにあったものを授与していただこう。

服部天神宮 干支の置物2024
「干支の置物」※2024年辰年のデザインです。

年末年始シーズンの期間限定で授与される「干支の置物」も、毎年楽しみにしているファンが多い授与品。日本古来の履物でもある神具「浅沓(あさぐつ)」をモチーフとしたデザインで、干支の生きものの愛らしい表情も魅力的。

2024年の辰年デザインの「干支の置物」は、2023年12月1日から授与されている(なくなり次第終了)。

服部天神宮の基本情報(時間、アクセス・駐車場など)

「服部天神宮」は、阪急宝塚線・服部天神駅下車すぐ。
自家用車の場合は、境内に駐車場あり(お祭りの際には駐車不可)。詳しくはホームページにて確認を。

スポット名服部天神宮
料金境内自由
時間4〜9月は6:00〜19:00、10〜3月は6:00〜18:00 ※1月1日〜3日・9日〜11日・15日、8月24日・25日については、参拝時間変更の可能性あり。
問い合わせ06-6862-5022
アクセス阪急服部天神駅下車すぐ
住所豊中市服部元町1-2-17【MAP
URLhttps://hattoritenjingu.or.jp/

まとめ

足の神様を祀る「服部天神宮」について、歴史やご利益、授与品、祭事など詳しくご紹介しました。いまは足の健康を実感している方でも、これから先その健康を守っていきたいですよね。そんな場合もぜひ服部天神宮にご参拝してみてください。アクセスは阪急宝塚線・服部天神駅から徒歩が便利です。

この記事を書いたのは… TOKK編集部I

甘いものが大好きなTOKK編集部 I

京都在住。休日の過ごし方はもっぱら京都のまち歩き。美術館や社寺、お笑いライブがとくに好き。花より団子。

阪急沿線情報紙「TOKK」は今年で創刊から50年目を迎える情報紙で、関西私鉄・阪急電車沿線のおでかけとくらし情報を毎月1回、各30万部発行するメディアです。取材のこぼれ話やお店の方から聞いたお話や、くらしの中で気になる情報を毎日更新中です。

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