大阪・高槻市のコーヒー豆専門店・FIFTEEN COFFEE ROASTERS。生豆を水通し、ひと手間が生む透明感のある味わい。
2021.07.08暮らし
阪急高槻市駅から徒歩約15分、街の鎮守社である上宮天満宮の東に位置するスペシャリティコーヒーの専門店・FIFTEEN COFFEE ROASTERS。
山手に静かに広がる住宅街に溶けこむように建つおしゃれな一軒家を目指す。
FIFTEEN COFFEE ROASTERSでは、豆の味わいや個性がより引き立つことを目指して、店主が加えるひと手間がおいしいコーヒー豆の数々が手に入る。
目次
高品質なスペシャリティコーヒーだからこそ手間がいきる
FIFTEEN COFFEE ROASTERSも他の店と違わず、生産地域や生産者がはっきりした最高品質の豆を扱うスペシャリティコーヒーの専門店だが、他店ではあまり行われることはないというひと手間が特長で、それは焙煎前の生豆を水に通して洗うこと。
海外から輸入された生豆は店に届くまでの間、ホコリや外気にさらされ運ばれてくる。もちろん生産地では輸出の前に、生豆をきちんと洗浄してはいるが、運ばれる間にどうしても汚れがついてしまう。
そのため店主・加賀山さんは、焙煎前の生豆を水洗いし、不純物を取り除いたうえで焙煎の作業へと移るようにしているそう。
上質なスペシャリティコーヒーだからこそ、クリアで透明感のある味をさらに引き出すひと手間が活きてくる。こういったエピソードはコーヒー好きにはたまらないし、嬉しくなるお話ではないだろうか。
水洗いをせずとも、焙煎することで加熱による殺菌処理がされるため、時間がかかる水洗いまで行う店はそう多くはないのだという。
水に通すひと手間で、よりクリアになる味わい。豆のもつ個性をきちんと再現するために加えたプラス1をぜひ感じてみてほしい。
店主のイチオシのシングルオリジン・KENYAを最初の一杯に!
FIFTEEN COFFEE ROASTERSでまず購入してほしいのはKENYA(ケニア)。
この豆は店主の加賀山さんが最も好んで飲んでいるコーヒー豆であり、店の人気商品でもある。
東アフリカに位置するケニアは、昔からコーヒーの品質が高いことで知られるが、加賀山さんは特に、浅煎りから深煎りまで幅広い焙煎に耐えられる豆の強さも特長だという。
FIFTEEN COFFEE ROASTERSでは、長くコーヒーを楽しんでいるお客さんからの要望に合うよう中深煎りで提供している。
フレッシュでコクも楽しめる。満足度が高い味わいのケニア。
どんなものでも、繰り返し、色々なものを試している中で、あ!これはおいしい!というタイミングがくるものだが、加賀山さんおすすめのケニアは私にそのタイミングをくれた豆の一つになった。
浅煎りのフレッシュなコーヒーも、深煎りの苦みとコクの豆も、かなり幅広く楽しむが、ケニアはその良いところを凝縮したような味わいで、満足感が高い豆だなあと二回目を通販で購入。気になる方はぜひお試しを。
シングルオリジン、ブレンド、デカフェまで5種から選んで
FIFTEEN COFFEE ROASTERSのコーヒー豆の種類は5種が基本。季節ごとのおすすめ、加賀山さんが選んだ農園から届いたシングルオリジン、水を用いてコーヒー豆を処理する「ウォッシュト」手法で仕上げられた豆、デカフェなどとなっている。いずれも中煎りの焙煎度合いが中心。
店内に置かれた焙煎機は業務用としては一番小さいサイズの3キロサイズ。小さな店だからこそ、多くの商品展開よりも、質の高いものを少しづつ、鮮度を一番に提供したいとの理由から選ばれた。焙煎後3日以内、その後3週間はエイジングを楽しみながら味わえるよう、商品を提供している。
会社員を辞めて旅した海外で出合ったスペシャリティコーヒーの世界
店主の加賀山さんは元々、ある企業で人事や法務に携わる仕事をされていたそう。数字を扱い、間違いが許されない仕事のプレッシャーと戦う日々の中、別の道への気持ちが強くなり、会社を退社。
その後は、ニュージーランドやオーストリアなどを訪れ、そこでスペシャリティコーヒーと出合った。
フルーティーで、豊かな香り…。これまで飲んでいたコーヒーと全然違う。その体験がもとでスペシャリティコーヒーの道を進み始めた。
関西に本拠地を置く焙煎機の会社での講習や独学で知識を身に付け、webショップからスタート、yahooショッピングのコーヒー豆部門でトップ10にランクインしたことも一度ではない。そして2016年から実店舗を構えた。
実店舗を作るにあたり、親戚が取り壊しを予定していたという家屋を引き受け、人生で初めて家の解体や内装にも挑戦。「思い返せば楽しかったけれど、想像よりも大変で重労働、できれば二度とやりたくない(笑)」そう。
高槻生まれ、高槻育ち、巡り巡って仕事も高槻と、深く地元に根を張り、小さな工房からコーヒーのおいしさを各地へ届けている。
全て、自分でやる!という加賀山さんは、店舗だけでなく、お店の看板や、メニューボード、商品の説明を書いたカードやロゴデザインなど、ありとあらゆるものを自らデザイン。
店のしつらえなど全てがシンプルかつすっきり。おいしいコーヒー豆を販売しているという1点だけにフォーカスした潔さがとてもいい。
取材の最後に少しお話をしている中で、加賀山さんが一言「僕はお酒を飲めないので、せめてコーヒーくらいおいしいものを飲みたいんですよね」。
そう!嗜好品は贅沢品ではなく、ちょっと良いものを選ぶだけで、幸せを増やしてくれるもの。良いもの選んで小さな幸せを、全ての人に共通の思いであり、願いかもしれない。
同じ思いを持つ人が最高の状態で提供してくれるコーヒー豆なら信頼がおけるものであることは間違いない。
スポット名 | FIFTEEN COFFEE ROASTERS |
時間 | 10:00~18:00 |
定休日 | 火曜・水曜・木曜日 |
問い合わせ | 070-4124-5353 |
アクセス | 阪急高槻市駅から約15分、JR高槻駅から約10分 |
住所 | 高槻市古曽部町1-15-19【MAP】 |
URL | https://www.instagram.com/fifteencoffeeroasters/ |
最後に
加賀山さんは人事法務の仕事をしておられたということもあってか、細かなところまで目を配り、きちんと整えておられるのがご本人からも、店づくりからも伝わってきました。
季節や気候に左右される不確定要素の部分をなくしてこそ安定したおいしい豆を作ることができる。そしてその工程にさらにひと手間を加え、豆と向かい合う姿こそあの味わいにつながるのだと感じられた取材でした。
この記事を書いたのは、TOKK編集部 K
生まれも育ちも京都。阪急電車の全駅を紹介した『まちあるき手帖 神戸線・宝塚線・京都線』を編集し、阪急電車の全駅を踏破した経験の持ち主。気になること、興味の対象は数限りなく、一日24時間では足りない!
うどん/コーヒー/ロードバイク/猫/読書/SNS(dispoで何を撮影するのが良いかお悩み中のこの頃)/ピラティス/和菓子/パン/電車/旅/東京/アンティーク/写真/建築
阪急沿線情報紙「TOKK」は今年で創刊から49年目を迎える情報紙。関西私鉄・阪急電車沿線のおでかけとくらし情報を毎月2回、各30万部発行するメディア。取材のこぼれ話やお店の方から聞いたお話や、くらしの中で気になる情報を毎日更新中です。
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