【宝塚】アモーレ・アベーラでいただく老舗イタリアン
2020.07.27グルメ
阪急宝塚南口駅から歩いてすぐの閑静な住宅街にある、緑いっぱいのイタリア料理店・アモーレ・アベーラ。宝塚でも老舗のイタリアンレストランです。常連客の人も多く、その老舗感と店構えから「どんな店か中が気になる…」という声も多いお店。そんな一度は訪れてみたい「アモーレ・アベーラ」を、今回はたっぷりご紹介します。
※この記事は2016年10月に取材した内容を再構成しています。
目次
昭和21年創業の宝塚の老舗店
阪急宝塚南口駅から南へ少し「本当にこんなところにお店が?」と思うほど閑静な住宅地。周りにはお店などなく、きちんとした門構えと豊かな緑、そしてイタリア国旗カラーの看板と立派な邸宅風の建物が見えたら、そこが目的地です。「宝塚でイタリアン」といえばまっさきに名の挙がる老舗(しにせ)、それが「アモーレ・アベーラ」です。昭和21(1946)年という終戦後まもない時に、シチリア出身イタリア人のアベーラ(故)さんが創業しました。
創業者のアベーラさんは、日本で終戦を迎え、負傷した体を癒やすために宝塚の山奥の温泉へ訪れたといいます。その時に恋に落ちた日本人女性と結婚、日本で生活していくために、現在の阪急宝塚駅近くに初代のお店をオープンしたのがはじまり。
店内は落ち着いた邸宅風
「アモーレ・アベーラ」の店内は、ステンドグラスや大きな窓がありゆったりしたお家のような雰囲気。それもそのはず、実はここは元々アベーラ家の住宅だったところを改装して作ったお店なんです。
店内には先代のコレクションである絵画がいくつも飾られていて、大きなお屋敷に遊びに来たようです。大きな個室もあり、宴会やパーティーなどもできるよう。オレンジの暖かな光が部屋を照らし、イタリア映画などで見る”イタリアの家庭”を思わせる優しい雰囲気です。
かわいいおじさんの試食中の姿?
「アモーレ・アベーラ」のロゴになっているイラスト。ランチョンマットにも描かれているコミカルなイラストです。よく見ると、おじさんが手でスパゲッティを食べているもの。これ、料理人の人がつまみ食いもしくは多めの試食をしている姿かと思えば…、実はフォークがない時代はこの食べ方が正式だったのだとか。そう聞くと、つい和んでしまいました。
料理が歌い出す〜♪
イタリアで、レストランのマネージャーをしていたアベーラさんは元々料理人ではなかったため、当時は随分苦労したとのだとか。アベーラさんは「料理が歌い出す」がモットーで、自身も歌いながら料理を作っていたといいます。料理の知識は少なくとも、料理を楽しみ、自身の豊かな発想力があったから、なんとか今まで乗り切ってこれたのだそうです。
現在、2代目のエルコレさんが「アモーレ・アベーラ」を守っていますが、先代のアベーラさんはとても厳しかったと話します。「料理を楽しみながら作っていた先代ですが、料理に対してはとても厳しい人でした。料理には一切妥協を許さず、修業時代はよく怒られたものです。ただ、家ではとても優しい父親だったんですよ」と振り返ります。
「父には料理では勝てませんがこの味を守りつつ、料理が歌い出すような新しいメニュー作りにも挑戦したい」と笑顔でエルコレさんは語ってくれた。
名物は唯一無二のミートソース!
そんな「アモーレ・アベーラ」で愛されているのが、現在も名物料理に挙げられる「スパゲティミートソース」と日本で初めて提供したといわれている「ピッツァ」です。
ミートソースは、「この味はほかでは味わえませんよ」と「アモーレ・アベーラ」現料理長が太鼓判を押す一品。レシピは創業当時のままで、3日間煮込んでいるとあってとろりと濃厚。提供されると、スパゲティは見えず、器にミートソースがたっぷり入っているようにしか見えません。口に入れると濃厚なのに、意外にも後味はさっぱり! 食べ始めると次々フォークが止まりません。たしかにほかで食べることができない「アモーレ・アベーラ」のミートソースは、唯一無二の味わいです。
日本で初めての「ピッツァ」
もう一つの名品は、ピッツァ。実は「アモーレ・アベーラ」は日本で初めてピッツァを提供した店としても知られています。最初は、日本の人にピッツァが受け入れられるか心配で、常連のタカラジェンヌに試食して感想を求めたのだとか。”お好み焼きみたいでおいしい”という感想に、自信をもって提供したといいます。
そんな「アモーレ・アベーラ」のピッツァは、しっかりとしたピッツァ生地。薄いクリスピーな生地でもなく、ふかふかでパンのような生地でもない。でも縁はカリッと中心部はもっちりとした生地。そこにサラミとマッシュルーム、その上に惜しみなくチーズがたっぷりとのっています(一見するとチーズしかないように見えますが…)。口にした印象は「ホームメイドでどこか懐かしく、そしてとってもおいしい」。でも懐かしく思うんですが、こちらもやはりここでしか味わえない一品なんです。
メインも前菜も…
名物と呼ばれるメニュー以外にも、評判の品が「アモーレ・アベーラ」にはいくつもあります。少しずつ色々いただけるのがうれしい「前菜」。マスタードの酸味と辛味が食欲をそそる「ディアボラ(白ワインとマスタード)」。それに、隠れた名物とも言われる、薄く伸ばした「仔牛のカツレツ」です。どれも丁寧な仕事が生きた料理で、「おいしいなぁ」と思わずうなってしまう落ち着く味わいです。
代々受け継ぐ大切な味
場所柄、この優雅な雰囲気で、地元宝塚の人はもちろんタカラジェンヌなどにも愛されている「アモーレ・アベーラ」。実は相撲の貴景勝関も子どもの頃から「アモーレ・アベーラ」によく来ていたといいます。なんでもピッツァがお気に入りで、「ここ(アモーレ・アベーラ)のピザはどこにも負けない。僕はアベーラのピザが大好きだから、他のピザを食べても食べた気がしない」とまで言っていたほどだとか。(貴景勝関は、芦屋市出身の仁川小学校卒)
「たとえば1月2日の予約はとれないんですよね。」2代目のエルコレさんによると「家族が集まるこの日、今年来られたお客様が、来年の同じ日を予約して帰られるからなんです。」親子3代で通う方もおられるらしく、お店が初代の味を大切にしているのと同様、お客さんにも代々受け継がれていく味なのかもしれません。
大切な人と優雅な時間を過ごす
実際、記念日に大勢の老若男女の家族で「アモーレ・アベーラ」にいらしているのを見て、ここはやはり家族や大切な人と集まる「ハレ」のお店なのだと実感しました。
わたしがお店へ個人的に訪れた時、「もともと知り合いだったかしら…」と思えるほど、親しみやすい接客で料理を提供してくれる店員さん。ここだけ別の時間が流れているのではと思うほど、ゆったりとした雰囲気、丁寧に作られたというのがよくわかる料理の数々…。”上品”というものを形にしたら、本当にこういうお店なんだろうというお店が「アモーレ・アベーラ」でした。
”年に数回、大きくておしゃれなお屋敷の親戚のお家に遊びに行く”…、そんな感じで定期的に訪れたいと思わせられました。みなさんも、ぜひ大切な人とゆっくり話しながら食事をする時間を「アモーレ・アベーラ」でもってみませんか。きっと満ちたりていて、上品で優雅な時間を過ごせると思いますよ。
スポット名 | アモーレ・アベーラ |
時間 | 11:30〜14:30(LO14:00)、17:30〜20:30(LO19:50 ) |
定休日 | 火曜休(祝日の場合は営業) |
問い合わせ | 0797−71−3330 |
アクセス | 阪急宝塚南口駅下車すぐ |
住所 | 宝塚市南口1−9−31【MAP】 |
URL | http://amoreabela.com/ |
この記事を書いたのは… TOKK編集部R
大阪・北摂育ち。甘党で1日1回の甘いものが欠かせません。
愛しているものは、ミルクティーとチョコレートとナッツとチーズケーキ…
趣味は、美術館巡り(浮世絵大好き)と観劇(ストレートプレイ中心)
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