京都・兵庫ゆるりと歩くレトロ建築さんぽ【TOKK2018年6月1日号】
2020.09.29特集
【TOKK2018年6月1日号】
明治・大正・昭和と、異なる表情を見せるレトロ建築 。時代が薫る瀟洒な空間、窓から差す光や、床に伸びる影…。そんな印象的な風景を探して、ゆるりレトロ建築さんぽへ。
※2018年に取材した記事を再構成しています。施設や店舗の営業時間や定休日、メニューは取材時の情報です。お出かけ前にご確認ください。
明 治 1868~1912
西洋の技術を取り入れた建築物を造ることで、世界に認められようとした時代。これまでの木造に代わり、石やレンガを用いた建築が多く誕生します。
01【兵庫】京都文化博物館(別館)
設計:辰野金吾、長野宇平治
竣工:明治39(1906)年
最盛期が偲ばれる豪奢な意匠を堪能
かつて日本銀行の京都支店として使われていた、明治を代表する洋風建築の別館は重要文化財。ホールの意匠は、天井に至るまで優雅と洗練の極みです。
レトロ建築が多く残る三条通の中でも、壮麗な赤レンガの存在がひときわ目を引きます。
別館内を仕切るカウンター。窓口は一つひとつ開閉でき、厳重ながらもエレガント。
スポット名 | 京都文化博物館(別館) |
時間 | 10:00~19:30 (イベントによって異なる) |
定休日 | 月曜(祝日の場合は開館、翌日休) |
問い合わせ | 075-222-0888 |
アクセス | 阪急烏丸駅下車 約9分 |
住所 | 京都市中京区三条高倉【MAP】 |
URL | http://www.bunpaku.or.jp/ |
ちょっとひといき 前田珈琲 京都文化博物館店
「スペシャルブレンドコーヒー龍之助」450円
金庫室の名残を留めるカフェ。
分厚い鉄扉の他にも、店内の不思議な位置に残る小さな金庫扉を探してみて。
スポット名 | 前田珈琲 京都文化博物館店 |
時間 | 10:00~19:30 (LO19:00) |
定休日 | 月曜(祝日の場合は開館、翌日休) |
問い合わせ | 075-255-1221 |
アクセス | 阪急烏丸駅下車 約9分 |
住所 | 京都市中京区三条高倉【MAP】 |
URL | http://www.bunpaku.or.jp/info/shop/maedacoffee/ |
02【兵庫】神戸文学館
設計:M・ウィグノール
竣工:明治37(1904)年
アカデミックに過ごす静謐な空間
昭和4(1929)年に西宮に校舎を移転するまでキャンパスがあった、関西学院の象徴的な赤レンガのチャペル。現在は神戸ゆかりの文学者の資料を展示する場として公開されています。
尖塔入り口の内部。チャペルらしい天井の高さを感じて視線を上げると、趣きのあるシャンデリアが。
アメリカの銀行家・ブランチの寄付を受けて建てられたため、「ブランチ・メモリアル・チャペル」の名で親しまれていました。
天井のハンマービームと呼ばれる、アーチ状の梁(はり)が特徴的。
スポット名 | 神戸文学館 |
時間 | 10:00~18:00 (土・日曜・祝日は9:00~17:00) |
定休日 | 水曜(祝日の場合は開館、翌日休) |
問い合わせ | 078-882-2028 |
アクセス | 阪急王子公園駅下車約7分 |
住所 | 神戸市灘区王子町3-1-2【MAP】 |
URL | http://www.kobebungakukan.jp/ |
大 正 1912~1926
西洋建築の模倣から、日本独自の建築を模索する時代へ。大正 12(1923) 年の関東大震災で倒壊したレンガ造りに代わり、鉄筋コンクリートと外装タイルを用いた建築が主流となってゆきます。
03【兵庫】高碕記念館
設計:ウィリアム・M・ヴォーリズ
竣工:大正12(1923)年
暮らしに寄り添うヴォーリズ建築
実業家・高碕達之助の住居として使用されていた、コロニアル様式の邸宅。大阪郊外の高級住宅地として開発され、大正文化を象徴する洋館が数多く建てられた雲雀丘一帯で、現存する唯一のヴォーリズ建築です。
過去に大幅な増築が繰り返されましたが、平成2(1990)年にヴォーリズの設計図面に沿って初期の形に改修されました。
半円形アーチ窓が整然と並んだ部屋。天井のラインに、腰折れ屋根の特徴が見て取れます。
造り付けの棚や玄関脇のベンチなど、住む人に配慮した設計は実用的な美しさに溢れています。
スポット名 | 高碕記念館 ※館内の見学は要予約。庭園見学は予約不要。 |
時間 | 10:00~16:00 |
定休日 | 月曜休(祝日の場合は開館、翌日休) |
予約・問い合わせ | 072-740-3300 (東洋食品研究所/8:30~17:00/土・日曜休) |
アクセス | 阪急雲雀丘花屋敷駅下車 約7分 |
住所 | 宝塚市雲雀丘1-7-58【MAP】 |
URL | https://www.shokuken.or.jp/culturalasset/about.html |
04【京都】アサヒビール大山崎山荘美術館
設計(監修):加賀正太郎
第一期工事竣工:大正6(1917)年
美しき英国風山荘に和のエッセンス
実業家であり趣味人であった加賀自身の高い美意識が隅々に表れた、英国風の山荘。松など日本の木材がふんだんに使われており、重厚でありながら、温もりが感じられる。また、庭園との調和も見所の一つです。
踊り場にはヨーロッパから取り寄せたステンドグラス。階段手すりの曲線美に精巧な職人技が見られます。
玄関脇に設置された、造り付けの革張りソファと暖炉が、来訪者を迎えます。
カットグラスに差し込む陽光が美しく屈折し、天気の良い日の午後には床を虹色に染めます。
かつて蘭の温室があった山手館へ向かう通路。蘭栽培は加賀の生涯の趣味だったそうです。
スポット名 | アサヒビール大山崎山荘美術館 |
入館料 | 大人900円、高大生500円、中学生以下無料 |
時間 | 10:00~17:00 (入館は~16:30) |
定休日 | 月曜(祝日の場合は開館、翌日休) |
問い合わせ | 075-957-3123(総合案内) |
アクセス | 阪急大山崎駅下車 約10分 |
住所 | 乙訓郡大山崎町銭原5-3【MAP】 |
URL | https://www.asahibeer-oyamazaki.com/ |
ちょっとひといき アサヒビール大山崎山荘美術館 喫茶室
珈琲やケーキに加え、ビールやワインも楽しめる喫茶室。気候が良い時期はテラス席もおすすめ。「ワインケーキ」400円。
昭 和 1926~1989
都市文化が花開き、高度経済成長に伴いオフィス需要が急増した時代 。鉄筋コンクリート造りの建物が数多く誕生し、代表的な建築のビジュアルもレンガの“ 赤 ”からモダンな“白” へ。
05【京都】フランソア喫茶室
設計:京都大学留学生ベンチベニら芸術家仲間
開店:昭和9(1934)年
大人心をくすぐる、粋な文化の香り
京町家の骨組みを残し、バロック様式を取り入れた内装は、豪華客船のホールをイメージしたもの。多くの文化人や芸術家にも愛された京都の文化サロン的存在。レトロスタイルの給仕姿もクラシック音楽の流れる店内にぴったり。
フレッシュクリームがたっぷり入ったウィンナータイプの珈琲と、定番のレアチーズケーキのセット1,150円。
二軒長屋を改築した洋館。喫茶室で初めて国の登録有形文化財となりました。
スポット名 | フランソア喫茶室 |
時間 | 10:00~23:00 (ドリンク・ケーキLO22:45) |
定休日 | 無休 |
問い合わせ | 075-351-4042 |
アクセス | 阪急京都河原町駅下車すぐ |
住所 | 京都市下京区船頭町184【MAP】 |
URL | https://www.francois1934.com/ |
06【兵庫】カトリック夙川教会
設計:梅木省三
竣工:昭和7(1932)年
荘厳な光に包まれる夙川の聖堂
日に3度、時を告げるカリヨンの鐘やステンドグラスが当時のまま残る、ネオ・ゴシック様式の教会。遠藤周作が洗礼を受けたことでも知られており、文学作品にも登場します。
東側正面の荘厳な外観。西側の美しい尖塔とともに夙川のシンボルとしても馴染みが深いものです。
堂内にはファサードの薔薇(ばら)窓を通して、やわらかな光が降り注ぎます。
ミサが行われる時以外は、一般に向けて常時公開しています。
スポット名 | カトリック夙川教会 |
時間 | 9:00~17:00 |
定休日 | 無休 (金・日曜午前中はミサのため見学不可) |
問い合わせ | 0798-22-1649 (日曜午前中を除く) |
アクセス | 阪急夙川駅下車 約5分 |
住所 | 西宮市霞町5-40【MAP】 |
URL | http://www.shukugawa.catholic.ne.jp/ |
京都・兵庫を訪れたら、ぜひご覧いただきたいレトロ建築を集めてみました。歴史ある建築物からは、時代の移り変わりも感じとれるよう。印象的な風景を探しにお出かけくださいね。
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