【阪急沿線で、半世紀。vol.9】日本庭園が見事「西宮市大谷記念美術館」

誰もがきっと1つは持っている“なつかしの場所”。
沿線で愛される、1972年開館の美術館のすてきなストーリーをご紹介。

【今回の施設】西宮市大谷記念美術館

大谷氏の寄贈により開館 日本庭園が見事

1972年11月に開館し、50周年を迎えた西宮市大谷記念美術館。西宮市が元昭和電極(現・SECカーボン)社長の故大谷竹次郎氏より、邸宅の土地建物、美術作品の寄贈を受けて開館した。邸宅である名残から、開館当時の建物は木造の畳敷きだったという。

リニューアル前の正面玄関

その後、建物の増改築を経て1991年に現在の建物が完成。展示室がさらに広くなったほか、入館するとすぐに美しい日本庭園が出迎えてくれる素敵なロビー空間が誕生した。

ジャンルにとらわれないさまざまな作品を展示

開館以降たびたび展示公開してきたのは、大谷氏のコレクション。特徴として、近代洋画や近代日本画、明治以降戦前までの作品や、静物や裸婦、風景がモチーフの作品、穏健で優しい画風の作品が多い。

上村松園《蛍》(部分)1943年

学芸課長の枝松亜子さんは「近年は、郷土ゆかりの作家の作品をはじめ、現代アートやデザイン、版画など幅広いジャンルの作品を積極的に収集しています。年々展示作品の幅が広がっていますので、多彩なアートの世界を楽しめます」と話す。

ギュスターヴ・クールベ《眠る草刈り女 ジャン=フランソワ・ド・トロワ作の模写》1845年頃

館の特に重要な作品として教えていただいたのが、大谷コレクションを代表するこの作品。写実主義のクールべが、歴史画家ジャン=フランソワ・ド・トロワの作品の模写を通じて、ロココ様式の優美さと演劇性を学んでいる。「クールベは19世紀フランス絵画における偉大な画家。心が穏やかになるような優しさが感じられる作品です」。

また、1978年からほぼ毎年、現在は8~9月に開催している「イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」も毎回大好評の展覧会。世界中の人々の個性豊かな絵本の原画作品に魅了される。

楽しみ方は自由、思い思いに過ごして

「当館での過ごし方は人それぞれ。作品を鑑賞して心癒やされる時間も良いですし、展覧会では気軽にアートに触れられるワークショップも開催しています。館内の喫茶室で、日本庭園を眺めながらのティータイムもおすすめです」と枝松さん。

喫茶室では、ナッツがたっぷり入った自家製チョコブラウニーやワッフルが人気。穏やかな時を刻む美術館で、思いのままに過ごそう。

スポット名西宮市大谷記念美術館
時間10:00〜17:00(入館は16:30まで)
※喫茶室FIELDは11:00~16:00(LO15:45)。
休館日水曜休(祝日の場合は開館、翌日休)、展示入替期間休
※2023年2月17日まで休館中。
問い合わせ0798-33-0164
アクセス阪急夙川駅下車 約18分、または阪神・香櫨園駅下車 約6分
住所西宮市中浜町4-38【MAP
URLhttp://otanimuseum.jp/

展覧会情報「新たな作品とともに 新収蔵品展」

勝部如春斎《四季草花図》(右隻)1764-84年

大谷コレクションや新収蔵品を中心に、近代日本デザインの巨匠・今竹七郎のデザインなど幅広い作品を展示。開館50周年を記念して収蔵された勝部如春斎の《四季草花図・芦雁図》も初お披露目。

期間2023年2月18日(土)~3月19日(日)
料金大人1,000円、高大生600円、小中生400円

連載「阪急沿線で、半世紀。」のバックナンバーはこちら

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