大阪梅田から阪急電車で18分の岡町駅周辺は、豊中市の中でもノスタルジックな雰囲気が漂うエリア。アーケードのある商店街に純喫茶と、昭和っぽさが落ち着く、街の魅力を紹介します。

レトロが楽しい岡町商店街と桜塚商店街

駅を出てすぐにある商店街は、アーケードの西側入口には「岡町商店街」の文字、東側には「桜塚商店街」の文字と、2つの商店街が繋がっています。足下のタイルが変わる場所が、両商店街の境目になっています。

歴史をひも解けば、能勢街道と伊丹街道が交わる岡町に、町場が作られたのは江戸初期のこと。箕面有馬電気軌道（現・阪急電鉄）岡町駅の開業以降は、駅前商店街としてにぎわいました。現在も新旧世代が知恵を絞って、にぎわいを生んでいます。

江戸時代創業。大阪の味を今に伝えるうどん店「土手嘉（どてか）」

そんな歴史ある商店街で、江戸時代から歴史を刻んできたのが、うどん店「土手嘉」。能勢・池田方面から大阪へ銀や銅、酒、炭を運んだ能勢街道と、上新田・熊野田（豊中北東部）を起点にした伊丹街道が交わる場所にあります。

土手嘉の店主は、現在9代目。旧街道の交差点であり、原田神社の門前という抜群の立地で、多くの奉公人を抱えて繁盛してきました。店主は代々2階に住み、子どもたちは店のうどんを離乳食として食べ、育ちました。

店主おすすめの「けいらん」693円は、軟らかいうどんが大阪流。あんかけだしをふんわりと卵でとじ、キクラゲの食感がアクセントに。バッテラを添えれば、これぞ懐かしい大阪庶民の味です。

うどん店でありながら、店のメニューを見ると「中華そば」「オムライス」…と多彩。これは、お客さんのリクエストに応えてきた証です。

スポット名	土手嘉（どてか）
時間	11：30～18：00
定休日	日曜休
問い合わせ	06-6852-3143
アクセス	阪急岡町駅下車すぐ
住所	豊中市岡町8-16【MAP】
URL	https://okamachi.com/shop/%e5%9c%9f%e6%89%8b%e5%98%89/

先代が築いた愛を引き継ぐ「森下とうふ店」

商店街で愛されて20年の森下とうふ店。

2019年に先代が病に倒れ、休業を知らせる貼紙に、常連客が激励のメッセージを寄せました。その数は色紙4枚にびっしり。息子の裕隆さんはファンが待ち望む味を引き継ぐことを決意しました。豆腐を作っては、病床で先代に味見してもらい、お墨付きを得て販売再開すると、笑顔が集まり、感謝されたそうです。

搾りたての豆乳を惜しみなく使った豆腐は、風味豊か。黒蜜が合う「豆乳プリン」200円も人気です。

スポット名	森下とうふ店
時間	10：00～17：30
定休日	日曜・祝日休
問い合わせ	06-6852-0565
アクセス	阪急岡町駅下車 約4分
住所	豊中市中桜塚2-27-25【MAP】
URL	https://okamachi.com/shop/%E6%A3%AE%E4%B8%8B%E3%81%A8%E3%81%86%E3%81%B5%E5%BA%97/

“ケーキの端っこ”が買える「ボン・シンタニ」

大阪国際空港（伊丹）まで約3キロと近い岡町。洋菓子店「ボン・シンタニ」では、空港開業当時から機内食のケーキを製造しています。

味はもちろん厳しい衛生基準もクリアして作っていますが、どうしても切れ端が出てしまいます。そこで切れ端のケーキを格安で販売してみると、たちまち評判に。工場が関西国際空港の近くに移転した今も、切れ端が買えるのは岡町のこの店だけです。

品ぞろえと価格は日々変わるので、どのケーキに出合えるかは、ショーケースをのぞいてのお楽しみ。

スポット名	ボン・シンタニ
時間	9：00～18：45
定休日	日曜休
問い合わせ	06-6841-5115
アクセス	阪急岡町駅下車 約4分
住所	豊中市中桜塚2-27-8【MAP】
URL	https://www.marushin-cake.com/ja/bonshintani.html

オムライス、昭和のネオン…純喫茶を巡る

オムライスが劇的なおいしさ！駅前喫茶「モントレー」

駅を降りてすぐの「モントレー」。店内のインテリアは、レトロな照明やステンドグラスが昭和感たっぷりで思わず見とれてしまいます。

ランプみたいな照明は、よく見ると細かいカッティングが施されていて素敵。

ランチタイムになると、店内は満席に。その理由は、便利な立地ということもありますが、創業から店を支える料理人が作る豊富な洋食メニューにあります。お得なランチセットに次いで人気なのが、ボリュームたっぷりの看板メニュー、オムライスです。

絶妙な味付けのライスをくるむ卵にかかるのは、店の歴史が詰まったデミグラスソース。野菜だしをベースに鶏ガラや牛スジ肉などを加え、1週間煮込んでいます。創業から継ぎ足し、継ぎ足し、深いコクのある味わいに。オムライスにセットで付いてくるのは、スープではなくお味噌汁というのも、何だかほっこりします。

スポット名	ジャズ　モントレー
時間	8:00～18:30（土曜は8:30～17:00、日曜・祝日は9:30～15:00頃）
定休日	不定休
問い合わせ	06-6843-4599
アクセス	阪急岡町駅下車すぐ
住所	豊中市中桜塚1-2-38【MAP】

光るネオンの外観に一目ぼれ「カフェ ドラン」

創業約50年という、商店街の中にある「カフェドラン」は、緑と赤のカラフルなネオンにアーチ窓のデザインが、ザ・昭和感満載。足を止めずにはいられない外観に心を奪われます。

ショーウインドーをのぞいて見ると、これも昭和の定番、本物みたいな食品サンプルが今もなおきっちり役目を果たしています。

隣接する原田神社の木々が窓の外に見える2階では、特等席の窓際でゆっくりくつろぐのがおすすめ。ノスタルジックな外観に合わせて、純喫茶の定番・クリームソーダやオムライスを思わず注文したくなります。

お母さんが作ってくれたような、懐かしさのあるオムライスに和みます。

「カフェ ドラン」では、1階のキッチンから2階へ料理を運ぶ、食品用のエレベーターも稼働中。ウイーンと動く音に耳を澄ませてみましょう。

スポット名	カフェ ドラン
時間	9:00～18:00頃（モーニングは～11:30。日替わりランチ〈日曜・祝日は除く〉は12:00～14:00頃、なくなり次第終了）
定休日	水曜
問い合わせ	06-6841-2525
アクセス	阪急岡町駅下車すぐ
住所	豊中市中桜塚1-2-3【MAP】

フォントがいい味、コーヒーもいい味「かたすみⅡ」

店名のかわいいフォントが目に留まる「かたすみⅡ」。本店は店をたたみましたが、豊中市内に3店舗を構えています。その中でも「かたすみⅡ」は、系列店の中で一番歴史のあるお店です。

扉を開けて驚くのは、その店内。こけし、能面、トライアングル、謎の置物…と、いろんなグッズたちがカウンターまわりを埋め尽くしています。聞けば、お客さん自ら持ち込んだ思い出の品やお土産だそう。バラバラなのに不思議な一体感があるのは、花やグリーンでさりげなくアクセントを加えているからでしょうか。

マスターが力を入れるのは、挽きたての豆をサイフォンで淹れるコーヒー。味のクオリティーを最大限に維持し、気軽に飲める一杯350円の価格設定は、お客さんに喜んでもらいたいという、マスターの心意気です。

スポット名	かたすみⅡ
時間	7:30～20:00頃
定休日	土曜午後、不定休あり
問い合わせ	06-6843-5398
アクセス	阪急岡町駅下車　約5分
住所	豊中市中桜塚2-25-5【MAP】

謎の仏像とレンガ造りのクラシックな空間「桜塚四丁目」

閑静な住宅街にある「桜塚四丁目」は、現オーナーの母親が48年前に始めたお店。レンガ造りのクラシックな店内は、オーナーの奥様が飾った調度品で品良くまとめられています。

壁をよく見てみると、柱に彫り込まれた仏像が3体。創業当時、インテリアの一部として取り入れられたそうです。

先代が始めたお店は、現オーナーが引き継ぐ5年前まで、喫茶店と分かるような看板をお店の外に掲げておらず、常連客が集まるサロンのような場所だったそう。

今は、外にメニュー表も出ており、誰でも気軽に利用できる場所になっています。お店は道路から一段低くなっていることから、外を通る人の目が気にならないのもいいところ。モーニング、ランチ、コーヒーと、基本的なメニューがそろっているので、窓際の席でゆっくりと目の前の公園の木々を眺めながら、優雅な時間を過ごしましょう。

スポット名	桜塚四丁目
時間	9:00～17:00（モーニングは～11:00）
定休日	日曜、祝日
問い合わせ	06-6854-0393
アクセス	阪急岡町駅下車　約16分、または阪急豊中駅下車 約15分
住所	豊中市北桜塚4-5-38【MAP】

カフェではない、昔ながらの純喫茶に改めて注目が集まっている昨今。レトロな岡町駅周辺は、歩いているだけで面白い発見があるはず。ぜひ一度訪れてみてくださいね。