「アサヒビールミュージアム(吹田工場)」に行ってきた! 予約やアクセス、見学レポまで徹底紹介。
2025.09.12吹田
キンキンに冷えたビール、しかも工場できたて&サーバーから注ぎたてが試飲できると評判の「アサヒビールミュージアム」。ビール好きなら一度は訪れたい聖地のような場所です。
しかも、お楽しみは試飲だけではありません。単なる工場見学のイメージを覆す、テーマパークのような仕掛けが盛りだくさん。その全貌を余すことなくお伝えします。
目次
阪急吹田駅から「アサヒビールミュージアム(吹田工場)」は徒歩圏内

アサヒビールミュージアムへは、阪急吹田駅から徒歩約10分。北側の東改札または西改札を出て、大阪高槻京都線(府道14号線)に沿って東へ進むと、すぐに右手に広大な工場の敷地が現れます。一本道なので、初めてでも迷う心配はありません。
工場の手前に佇む泉殿宮(いづどのぐう)は、アサヒビールと深い縁がある場所。明治22(1889)年、境内の「泉殿霊泉」の水をドイツ・ミュンヘンに送り、ビール醸造に適した水と認められたことから、隣接地にビール工場が建てられるきっかけになったそう。
現在は湧水こそ枯れていますが、史跡は残っており、工場見学の前に立ち寄るのもおすすめ。街に根付いたビール文化をより鮮やかに感じられるでしょう。
アサヒビールミュージアム(吹田工場)ツアーの詳細と予約方法
アサヒビールミュージアムのツアーは、休館日を除く毎日8回開催。所要時間は約90分で、映像や展示を楽しみ、最後には試飲まで体験できます。
参加料金は大人(20歳以上)1,000円、小学生以上300円、未就学児は無料。料金には見学から試飲までが含まれており、参加費の一部は吹田市への寄付に充てられています。

定員は1回20名程度。参加者はカップルや友人同士、親子連れから海外の観光客まで幅広く、国際色豊かな雰囲気。
ツアーをリードするクルーは、笑顔を絶やさず丁寧に説明してくれるので安心感があります。専門的な内容もかみくだいて紹介してくれるため、ビールに詳しくない人でも楽しめるのが魅力。
ツアーは多言語のオーディオガイドアプリを使うこともでき、外国から訪れたゲストも一緒に学びながら盛り上がれる雰囲気です。

試飲では「スーパードライ」をはじめ、「マルエフ」や「黒生」、さらに「ペローニ」や「ピルスナーウルケル」といった海外ブランドもそろいます。ノンアルの「ドライゼロ」「アサヒゼロ」やソフトドリンクも選べるため、誰でも自分に合った一杯を楽しめます。

また、アサヒビールが提唱する「スマートドリンキング(スマドリ)」の理念もここで体感できます。飲む人も飲まない人も、自分らしく“最高の一杯”に出会える仕組みが、ツアー全体に息づいているのです。
アサヒビールの歴史とアサヒビール吹田工場の誕生
アサヒビールの物語は、この吹田の地から始まります。明治22(1889)年、「大阪麦酒会社」を創業。当時、日本人にとってお酒といえば日本酒が主流で、外国のビールは高級品。そこで「日本人の手による、日本人に合ったビールを」と、大阪の実業家たちが立ち上がりました。
創業前年には、生田秀氏がビール造りを学ぶためドイツに留学し、初代社長には鳥居駒吉氏が就任しています。

明治23(1890)年に醸造所の建設を開始し、翌年秋、吹田村(現在の吹田市)に赤レンガ造りの醸造所が完成。これが現在のアサヒビール吹田工場のルーツです。泉殿宮の霊泉という良質な水と、大阪からの交通の便に恵まれた立地の良さが選ばれた理由でした。
館内のロビーには、創業時の建物の模型が配され、往時の雰囲気を感じとれます。

当時の物流は鉄道や水運に頼っており、醸造所から神崎川の倉庫までは牛や馬が牽く軽便軌道で運ばれ、そこから船で大阪市内へ届けられていました。
のちに阪急電車のトロッコで運ばれたこともあり、ビールと鉄道の関わりはこの頃から深かったのです。その頃の写真は館内のカフェエリアで見られます。

明治25(1892)年には「アサヒビール」が誕生。当時は大阪麦酒の銘柄で、昇る朝日のように未来を切り開く願いを込めて名付けられ、日本初の本格国産ビールとして一歩を踏み出しました。
そして昭和62(1987)年、洋食ブームから飲料に重さを感じさせない味わいを求める時代に生まれたのが「アサヒスーパードライ」。すっきりとしたキレとシャープな喉ごしの“辛口”の味わいが爆発的に支持され、日本のビール市場を一変させます。

社会現象にまでなったスーパードライは、今も世界で愛されるアサヒビールの象徴です。
その後、ぬくもりややさしさを求めたくなる何かと忙しい時代に突入すると、自宅でお店の味を楽しめるアサヒ生ビール「マルエフ」が誕生。
そして令和4(2022)年にはスーパードライがリニューアルし、“新スーパードライ”へ進化。飲んだ瞬間に強い香りとうま味が広がり、雑味がなくキレがあり、後味を残さず余韻がすっと消える──高炭酸が生む躍動感のあるうまさは、さらに多くの人を魅了しています。

アサヒビールミュージアム(吹田工場)のツアーに行ってきました!
エントランスで名前を告げると、受付スタッフの笑顔が迎えてくれます。
券売機でチケットを購入し、20歳以上の参加者は、試飲時のツアー参加の目印となるリストバンドを装着して準備完了。リストバンドは自動車・バイク・自転車で来館した人、妊娠・授乳期の人が青色、それ以外は黄色に色分けされます。
ロビーには創業時の吹田醸造所の復元模型や、ドイツから持ち帰られた醸造機械の模型などが並び、出発前から胸が高鳴ります。併設のミュージアムショップには限定グッズもあり、おみやげ探しにもぴったりです。

時間になれば集合して、いよいよツアーがスタート。
まずはシアタールームで、創業からスーパードライ誕生までの歩みを映像でたどります。ここで語られるのは、「うまい」は、時代ごとに変わるものだということ。
アサヒビールが、その変化をとらえ、常に“最高の一杯”を探し続けてきた姿勢がストレートに伝わりました。
これからその“最高の一杯”に出会えるのかもしれないと期待感が一気に膨らみます。

続いて原材料展示エリアへ。麦芽やホップを手に取ると香ばしい香りが漂い、普段何気なく飲んでいる一杯にこれだけのこだわりが詰まっているのだと感じます。

黒と赤を基調にした館内はまるでテーマパークのよう。天井や壁の照明が演出され、移動中ですら胸が弾むような高揚感があります。足を進めるごとに「次はどんな仕掛けが待っているのだろう」と思わせてくれる空間演出です。

その後は仕込み釜を模した模型にプロジェクションマッピングを投影し、仕込みの工程を体験。麦芽を砕いてお湯と混ぜ、ホップを加えて煮沸する──まるで仕込み釜をのぞき込んでいるような迫力です。

さらに進むと、VRによる発酵体験や製造ラインの見学、アサヒビールの未来を見据えた取り組みの紹介へと続きます。最新の技術や取り組みを通して、ビールづくりの今と未来を知ることができました。

環境負荷を減らす工夫や多様な飲み方を提案する「スマートドリンキング(スマドリ)」など、未来を見据えた取り組みに触れられるのも印象的でした。
そしてクライマックスは最大の目玉アトラクション「SUPER DRY GO RIDE」。その興奮の余韻を残しつつ、お楽しみの試飲タイムへと続きます。


試飲約20分を含む90分のツアーが終了。クルーの丁寧な解説に耳を傾けながら巡る時間は、あっという間に過ぎていきました。
次からは、アサヒビールミュージアムの見どころ4つを厳選してご紹介します。
見どころ① 吹田工場のできたてを味わえる試飲体験
一番のおすすめは、やはりツアーの最後に待っている試飲体験です。
ここでは、できたての「アサヒスーパードライ」をはじめ、「マルエフ」や黒生、さらにイタリアの「ペローニ」、チェコの「ピルスナーウルケル」など世界の銘柄がそろいます。
お酒が飲めない人には「ドライゼロ」や「アサヒゼロ」、三ツ矢サイダーやカルピスなどソフトドリンクも用意され、誰でも自分に合った一杯を楽しめます。

なかでもおすすめは「スーパードライ エクストラコールド」。氷点下0〜-2℃に冷やされた特別な一杯で、グラスを口に運ぶと高炭酸の爽快な刺激とシャープな口当たりが広がり、新スーパードライが掲げる“躍動感のあるうまさ”を実感できます。
グラスでのサーブは、アサヒクルーが銘柄ごとに泡立ちを変えて注いでくれます。
スーパードライはクリーミーな泡でキレを重視、マルエフは柔らかな口当たりと余韻を残す注ぎ方で提供。おいしさがより際立ちます。

エクストラゴールドにロゴをプリントしてくれるサービスもあります。

自分でビールを注ぐサーブ体験や、泡にロゴをプリントする泡アート体験も人気。おつまみ付きで、さらにグラスのお土産まで。試飲体験は、ここでしか出会えない特別な一杯を堪能できる、ツアーのクライマックスにふさわしい時間です。
見どころ② ミュージアムで体感する「SUPER DRY GO RIDE」アトラクション
「SUPER DRY GO RIDE」は、テーマパークの最新ライドのような、ツアー最大の人気アトラクション。正面・左右・足元と四方のスクリーンに、スーパードライの缶の上に乗って工場ラインを駆け抜ける視点で、迫力の映像が映し出されます。
製造日付の印字、缶の洗浄、ビールの充填、異物チェックや蓋の密閉といった細かい工程を、映像で再現。さらに、シートの振動や風、ミストが加わり、五感を総動員させて臨場感を味わえます。

そのダイナミックさに、大人も子どもも思わず声をあげるほど。ここでしか体験できない非日常な臨場感が味わえます。
見どころ③ ミュージアムのVR発酵体験で知るビールの奥深さ
VRゴーグルを装着すると、自分が酵母になったかのようにタンクの中を旅する「発酵体験」が始まります。糖をアルコールと炭酸に変えていく酵母の営みを、色や音、動きで全身に感じられる迫力あるコンテンツです。

特に新スーパードライに使われる“318酵母”は、何百種類もの中から選ばれた超精鋭。高い発酵力が辛口のキレを生み出す決め手となっています。飲んだ瞬間に広がり、すっと余韻が消える──その“躍動感のあるうまさ”の秘密を、VRで追体験できるのです。

子どもにとっては理科の実験のように新鮮で、大人にとっては知的好奇心をくすぐる体験。世代を問わず夢中になれるのも、このVR発酵体験の魅力です。
見どころ④ 吹田工場創業時の重厚な赤レンガ建築とSFのような近未来内装
正面エントランスに残る赤レンガの外壁は、創業当時の建物の名残。ステンドグラスが光を受けてきらめき、その荘厳な佇まいを背に緑に包まれた敷地を歩けば、吹田に根ざす歴史と、そこに流れるやわらかな空気を肌で感じられます。

館内に一歩足を踏み入れると、印象はがらりと変わります。黒壁と黒床で統一された空間は、まるで近未来の世界へ迷い込んだかのよう。スポットライトが展示を際立たせ、SF映画のワンシーンを切り取ったような雰囲気を漂わせています。
さらに、本物の製造現場を間近に見られるのも大きな魅力。ケーサーと呼ばれるショベルカーのような機械による箱詰め、瓶詰めやラベリング、そして1分間に1,500缶が流れる充填工程など。

光沢のある缶や瓶が猛スピードで流れていくのは、単に効率のためではありません。ビールは酸素に触れると酸化が進み、香りや泡立ちが失われ、味わいも劣化してしまいます。そのため充填は一気に行い、酸素を寄せつけない工夫が徹底されているのです。
つまり、目の前を駆け抜けるラインの速さは、できたてのおいしさを守るための大切な仕組みのひとつというわけです。

平日の稼働時間に訪れたなら実際の製造ラインも垣間見られ、臨場感はさらに増します。外に目を向けると、巨大な熟成タンクがずらりと並ぶ光景も圧巻。そのタンク1本のスケールは、350ml缶を1日1本飲み続けても空にするのに約4000年かかるほどだそう。
歴史的建築と近未来的な演出、そして稼働する製造ライン──三位一体の体験が、ここにしかない特別感を生み出しています。

アサヒビールミュージアム(吹田工場)の見学まとめ
吹田の地で誕生したアサヒビール。その原点を体感できる「アサヒビールミュージアム」のツアーは、工場見学の域を超える特別な没入体験でした。
創業当時の趣を残す外観と、映像やVR、ゴーライドといった最新技術を駆使した演出。そして最後に待つのは、鮮度バツグンの氷点下のエクストラコールドをはじめ、多彩なビールを味わえる試飲体験。
伝統と革新が共存する空間で、ビールの奥深さを知り、飲む人も飲まない人も「最高の状態の一杯」に出会える。まさに「記憶に残る最高の一杯に出会える場所」というコンセプトどおりの大満喫できた90分。
一度訪れれば、きっとまた来たくなるはず。家族と、友人と、恋人同士で、お一人様でも、年齢・性別・人数・国籍を一切問わずに楽しめる、そんな場所でした。
アクセスも阪急吹田駅から徒歩圏内と便利で、ちょっとしたおでかけや観光の合間に訪れやすいのも魅力。吹田に来るならぜひ立ち寄りたい、おすすめのスポットです。
その際は、事前予約をお忘れなく!
スポット名 | アサヒビール ミュージアム |
時間 | 体験ツアー/完全予約制 WEB予約または電話予約にて(2か月前の第3金曜日から翌1か月分の受付を開始) ツアー開催時刻/10:00、 10:30、11:00、 13:00、 13:30、14:30、 15:0(所要約90分) ※営業状況により回数や時間が変更となる場合があります。最新の情報は公式Webサイトをご確認ください。 |
料金 | 大人(20歳以上)1,000円、小学生以上300円、未就学児無料。 障がい者手帳提示で大人500円・小学生150円(付き添い1名まで) |
定休日 | 不定休、 休業日はWebサイトで案内 |
問い合わせ | 06-6388-1943(電話受付は9:15~16:00) |
アクセス | 阪急吹田駅下車 約7分 |
住所 | 大阪府吹田市西の庄町1-45【MAP】 |
URL | https://www.asahibeer.co.jp/brewery/suita/ |
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この記事を取材したのは ライターS子
京都生まれ・京都育ち・大阪在住。出版社勤務を経て、フリーの編集・ライターに。関西の街と人、食にまつわる企画を中心に、紙・Web問わず幅広く執筆。阪急沿線に暮らし、週1以上で阪急電車を利用する“沿線ユーザー”。好き嫌いゼロの大食漢で、新しい味との出会いに目がない。
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