レトロな「竹見台マーケット」から地域を元気に

大阪府北部の千里丘陵に広がる千里ニュータウン。その一角に立つ竹見台マーケットは、地域の台所として賑わい、今も独特のレトロな雰囲気が漂います。近年はマルシェなどのイベントが行われ、若い世代を中心に注目を集め始めているのだとか。そんな竹見台マーケットで地域を盛り上げたいと奮闘する会長の引間和行さんを訪ねました。

竹見台マーケットの引間会長

引間 和行(ひきま かずゆき)さん
竹見台マーケット内にある「フルーツ千里」の2代目店主で、竹見台マーケットの会長。建設業やスーパーマーケット、大阪市中央卸売市場などでの仕事を経て、初代の父から家業を継ぐ。フルーツ千里は45年前に吹田の亥の子谷で創業し、平成26(2014)年にこの地に移転した。「ええもんしか売らない」と果物の品質の高さには自信を持ち、夫婦で店を切り盛りする。

地域の台所として歩んだ竹見台マーケット

高度経済成長期に誕生した千里ニュータウンには、地区ごとに住民の暮らしを支える近隣センターが設けられました。
その一つであり、竹見台マーケットと竹見台商店会からなる竹見台近隣センターがオープンしたのは昭和43(1968)年のこと。

最盛期には20軒以上の店が集まっていた竹見台マーケットは、近くに住む人にとって、すべての買い物を一度に済ませられる貴重な場所だったと言います。

竹見台マーケット外観

「私の店はここに移って12年目になりますが、これまで鶏肉屋や魚屋、乾物屋といった主要な店が店主の高齢化などを理由に次々と閉店していきました。テナントの募集をかけましたが集まらず、一時期は4軒くらいになってしまって。

毎日の買い物に特に欠かせない八百屋も閉店することが決まった時は、さすがにどうにかしなきゃいけないと思いましたね」。

そこで引間さんは竹見台マーケットを管理する組合に働きかけ、組合で八百屋を運営することに。
引間さんがこれまで培った経験やネットワークを生かしながら仕入れを担当し周囲の協力も得ながら、地域の台所としての竹見台マーケットを守っていました。

マルシェの開催を機に若い世代の認知度がアップ

そんな竹見台マーケットに令和5(2023)年、大きな転機が訪れます。新たにカレー屋・B.B.CURRYが開店し、店主の馬場丈雅さんが仲間に加わったのです。

「B.B.CURRYの馬場さんは『この地域を活性化させて地元に恩返しをしたい』という強い思いがある人で。この場所を皆に知ってもらおうと、竹見台マーケットを舞台にマルシェを開催してくれるようになりました。

馬場さんはたまたま私と年が同じで地元も一緒。B.B.CURRYやマルシェをきっかけに同年代の人とのつながりが増え、地元を盛り上げようという動きが広がってきているように感じています」。

竹見台マーケット_マルシェ1

馬場さんが主催する「ワンダフルマルシェ」はパンやスイーツなどの人気店も参加するフード関係が中心。
海外のヴィンテージ雑貨やアートといったものも販売し、参加者のプロ意識の高さでも一目置かれているそう。

竹見台マーケット_マルシェ2

他にも別のグループがハンドメイドの作品などを販売する「つなぐマルシェ」を開催するようになり、マルシェを通して竹見台マーケットを知る人が増えていきました。

カレー屋に続きワインショップ、八百屋が仲間入り

引間さんが竹見台マーケットを案内してくれました。

引間さんが店主を務めるフルーツ千里には、日本各地から仕入れた美しいフルーツがずらりと並びます。
進物用のフルーツを中心としており、質の高さは一目瞭然。引間さんの目利きを信頼し、わざわざ遠くから買い求めに来る人がいるのも納得です。

竹見台マーケットの千里フルーツ

「昨年の夏にはマーケット内にワインショップもオープンし、八百屋もやってくれる子が現れて世代が若くなり、竹見台マーケットの雰囲気も少しずつ変わってきました。
マルシェの影響もあって、普段ここに足を運んでくれる客層の幅が広がった実感はありますね」。

ワインショップ「acid」はこのマーケット内の空気を変えるようなおしゃれな存在感。
ヨーロッパ産のナチュラルワインを中心に、2,000円台~の手頃な価格で販売しています。

「スタンドで飲んでいただけるグラスワインも用意しています。マーケット内の惣菜と一緒にワインを味わうこともできますよ」。

竹見台マーケットのワインショップ1
竹見台マーケットのワインショップ2

続いて訪れたのは八百屋の種々(くさぐさ)。こちらは令和6(2024)年の12月にオープンしたばかり。
これまで組合で協力して運営してきた八百屋に代わり、意欲溢れる店主の宮田さんが店を始めました。

「年中同じものが並ぶスーパーの野菜とは違う、旬の野菜を食べてほしいと思い、全国の農家から直接仕入れています。珍しい種類の野菜もあって、料理人の方が買い付けに来ることもありますよ」。

野菜を一つずつ丁寧に扱いながら店頭に並べていく姿に、宮田さんの野菜への愛を感じられます。

竹見台マーケットの種々1
竹見台マーケットの種々2

最後に訪れたのは、今や竹見台マーケットになくてはならない存在となった馬場さんが夫婦で営むB.B.CURRY。
かつて大阪市の中津にあり、馬場さんが常連として通った「スパイス飯店」という人気カレー店の味を再現しています。

ココナッツのマイルドな風味とスパイスの刺激が絶妙にマッチし和のテイストに仕上げたタイカレーは、あらゆる世代に好評。

「カレーをきっかけにして、一人でも多くの人に竹見台マーケットを知ってもらえたらうれしいです」と馬場さんは話します。

竹見台マーケットのBBカレー1
竹見台マーケット_BBカレー

マーケットには、他にも昔ながらの惣菜屋さんや精肉店もあり、地元の人に親しまれているのがよくわかりました。

竹見台マーケットが地域を盛り上げる存在に

最近ではマルシェに加え種々の宮田さんが食に関するワークショップを開くなど、竹見台マーケットが人の集まる場として活用される機会が増えています。
店舗も一時期と比べると数が増え、現在は7店舗が並びます。

竹見台マーケット内観

「5年前に会長になった当初はこの先ここはどうなるんだろうという不安もありましたが、B.B.CURRYの馬場さんがここに参加してくれたことをきっかけに、自分の考えにも変化が生まれました。

以前は竹見台マーケットを盛り上げることしか考えられてなかったけど今は視野が広がり、地域全体を活性化させていくことが大切だなと思うようになりました。

今後はもっと大きなイベントを行えたらと思いますし、さらにこの街を元気にしていきたいですね」。
引間さんの展望はますます広がりそうです。

スポット名竹見台マーケット
時間10:00~19:00 ※店舗によって異なる
定休日日曜・祝日 ※店舗によって異なる
電話番号06-6871-3709
住所大阪府吹田市竹見台3-6-6
アクセス阪急南千里駅下車 約12分
URLhttps://www.instagram.com/takemidaimarket/

この記事を取材したのは  ライター A子
愛知県出身京都在住。京都が好きで移り住んで約20年。
制作プロダクションでの編集を経て、ライターとして独立。
京都の酒場巡りが好きで、主に御所周辺や出町柳エリアに出没。

阪急沿線情報紙「TOKK」は今年で創刊から50年以上の情報紙。関西私鉄・阪急電車沿線のおでかけとくらし情報を毎月1回、各30万部発行するメディア。取材のこぼれ話やお店の方から聞いたお話や、くらしの中で気になる情報を毎日更新中です。
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