大阪を代表するクールスポットがある垂水神社
2024.12.19おでかけ
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阪急・千里線の豊津駅から徒歩で10分程度の場所に、背後に広大な森を擁する古い神社があります。垂水(たるみ)神社は大化の改新の頃、飛鳥時代に創建されました。
お正月三が日の初詣や春と秋の大祭には地元の人だけでなく近隣からも多くの人が集まる人気のスポット。
今回は垂水神社を訪問し、宮司の竹内真哉さんに、神社の歴史や魅力、見どころなどをお聞きしました。
目次
豊津駅からは徒歩圏内。駐車場も完備されている
まずは、垂水神社までのアクセスをご紹介しましょう。
最寄りは阪急・千里線の豊津駅。改札を出て右手の階段を上がると、豊津交番前の交差点に出ます。写真に見える一車線の道をまっすぐ進み、最初に見える信号を右折、突きあたりを左に曲がると神社の灯篭に至ります。
ゆっくり歩いても10分かかるかどうかの距離です。大阪メトロ・北大阪急行の江坂駅からは行くことは可能で、こちらは徒歩20分程度。
無料の駐車場(約10台)はありますが、周囲は細い道が多いので注意が必要です。境内散策は自由で、とくに参拝可能な時間などは設けられていません。
主祭神は豊城入彦命。水にまつわる伝説が残る
神社の起こりは孝徳天皇の代(645~654年)で、ちょうど大化の改新の時期に当たります。干ばつがあり、この地の領主がいまの垂水神社のある場所から「樋」(水を流すための管)を使って難波宮(大阪市中央区)まで湧き水を流しました。
その功績により「滝」あるいは「崖から流れ落ちる水」を意味する「垂水」の姓を孝徳帝より賜り、その名を冠した神社を起こした、と伝わります。もっとも、神社の周囲からは弥生時代の遺跡が見つかっています。
本殿の後方には弥生時代に集落があったこともわかっているため、「垂水神社」になったのは孝徳帝のときだが、「神社そのものはそれよりもずっと以前からあった」(竹内宮司)と考えられています。
ご祭神は豊城入彦命(とよきいりひこのみこと)。実在する最初の天皇とされる第10代崇神天皇の皇子で、垂水姓を賜ったこの地の領主の祖先にあたります。実は、豊城入彦命をご祭神とする神社は北関東や東北南部に多く、垂水神社より西にはありません。そのため、ヤマト王権の東国平定に功績のあった人物ではないか、と考えられています。ご利益は「水にかかわるので『生活安全』」(竹内宮司)。ちなみに、江戸時代に出版された観光ガイド『摂津名所図会』では、あとで紹介する垂水の滝について「清冷甘味、諸病を治す」と紹介されています」とのこと。
見どころいっぱいの垂水神社。四季を通じて自然が楽しめる
そんな垂水神社にはどんな見どころがあるのでしょうか。いくつかご紹介しますが、ゆっくり回っても所用時間は30分程度。ただし、本殿に行くにはは約40段に石段を上る必要があるので、歩きやすい服装で訪問するようにしましょう。
鎮守の森を背景に屋根が美しく映える「本殿」
本殿そのものは新しく1974(昭和49)年に建替えられました。本殿・幣殿・拝殿が連結されたつくりになっています。ここには、豊城入彦命のほかに大己貴命(おおなむちのみこと=大国主命の別名)、少彦名命(すくなひこなのみこと)もお祭りされています。「豊城入彦命はヤマト、大己貴命は出雲、少彦名命は海を渡って来た神様です。古代の大阪はそれらの交わった場所で、当社はそれを象徴しています」と竹内宮司。本殿の後ろが神社の鎮守の森にあたり、その緑をバックに屋根が美しく映えるのが特長です。
あべのハルカスからも見える「鎮守の森」
鎮守の森の広さは甲子園球場の約2倍もあります。あまりに広大なので飛行機からは「住宅地に浮かぶ島」のように見えるそうです。また、千里丘陵の南端にあたり、こんもりした丘でもあるため、約15キロ離れたあべのハルカスの展望台からも見ることができるといいます。森の中は「神域」なので、一般の人は入ることができません。ただし、本殿の右手にある石段(裏参道)からは、手つかずで、自然豊かな森の様子をうかがうことができます。
末社の戎社、祓戸社周辺では季節の花が楽しめる
本殿の右手には末社が並び、そのうちの戎(えびす)社では1月10日に十日戎の祭礼が行われます。毎年、福笹などの縁起物を求める人々で賑わうそうです。
祓戸(はらえど)社はお祓いを司る神様をお祭りするお社で、春秋の大祭の際、神職や氏子総代の人たちはここでお祓いを受けて拝殿に進みます。
戎社や祓戸社の周辺では、春は梅や桜、秋は紅葉が楽しめるほか、鎮守の森からはウグイスをはじめとしたさまざまな鳥の声も聞こえてきます。
垂水神社の湧き水を詠った「万葉の歌碑」
いわばしる 垂水のうえの さわらびの
もえいづる春に なりにけるかも
『万葉集』に載る志貴皇子(天智天皇の皇子)が詠んだ歌で、「岩を流れ落ちる滝の近くにわらびが芽を出している。ようやく春になった」といった意味です。竹内宮司によると「志貴皇子の子孫のなかに、この地域と関係する人物がいる。そのため、志貴皇子も当社に立ち寄った可能性は十分ある」とのこと。歌碑は氏子のみなさんの寄付で建てられました。
クールスポット100選にも選ばれた「垂水の滝」
鎮守の森にしみ込んだ水が湧き出してできたのが「垂水の滝」です。境内には写真の「垂水の本滝」とそれよりも少し小さい「垂水の小滝」があって、どちらの滝も近づいて水を汲むことができます(ただし、水質検査は行っていないため、飲料水としてはおすすめしないとのことです)。鎮守の森に接したところにあって、とても静かで、凛とした清浄な空気が漂っています。そのため、2012年には大阪府のクールスポット100選にも選ばれました。先に書いたように、江戸時代には有名な観光ガイドにも紹介されるくらい知られた存在でした。実は、本滝のそばにある燈篭には「滝の水を使って新田開発をした」と刻まれているそうです。以前はもっと水量があったと考えられています。
節分の日ににぎわう「不動社」
神社の西の端にはかつて栽松寺という真言宗のお寺がありました。明治の廃仏毀釈の影響で廃寺となり、不動社が建てられ不動明王像が安置されました。管理と行事は垂水神社が担い、毎月8日には護摩焚きが行われます。また、2月の節分には節分祭が行われ、厄年の人が奉納した小豆でつくったぜんざいが参拝者にふるまわれます。普段は秘仏の不動明王像も、節分祭のときは扉が開き、足元を拝することができるそうです。
樹齢が400年の「ご神木」
社務所の前、石段の脇に立つのが垂水神社のご神木です。クスノキで樹齢は400年以上と推定されています。幹回り約4.5メートルで、樹高は15~16メートル。背をそらして見上げるほど高さがあります。垂水神社には不動社の後ろにも巨木が2本立ち、こちらも推定樹齢は400年と推定されています。
正月には初詣客が列をつくる「表参道」
社務所の南は、一の鳥居まで表参道が続きます。宅地開発で住宅が両側ギリギリまで迫っていますが、クロマツの並木道で、春と秋のお祭りの際は露天が立ち並びます。お正月の三が日には、初詣の人たちが本殿から一の鳥居まで列をつくり、参拝するまで1時間以上かかることもあるそうです。一の鳥居は元禄ごろに建てられたと伝わり、燈篭のなかには明和元年(1764年)に建立された250年以上も前のものもあり、今も夜になると明かりがともります。
地元の人たちで大賑わいの「春と秋の大祭」
垂水神社では1年を通じてさまざまな行事・神事が行われています。先に紹介した1月の十日戎、2月の節分祭ほか、春と秋の大きなお祭りが催されます。
春には5月20日の御旅所祭(神社南方)と宵宮祭、5月21日の「春季大祭」が。
秋には10月20日の御旅所祭(神社南方)と宵宮祭、10月21日の「秋季大祭」が行われます。どちらも21日は本殿の扉が開いて、中の様子を見ることができるそうです。また、神輿や神楽、雅楽、太鼓の行列などが奉納され、1日中にぎやかとのことです。祭りの2日間、表参道には50~60もの屋台も出ます(15時~21時)。なお、この間、駐車場は使用できません。また、「自転車も駐輪場に限りがありますのでご遠慮ください」(竹内宮司)とのことなのでご注意ください。
「垂水神社のお守り」はとても個性豊か
垂水神社の授与品はとても個性豊かです。まずは祈願別のお守り。身体健全、病気平癒、家内安全、合格祈願、厄除開運、就職祈願などなど、また、ご神木の一部を入れた「御神木守」もあって、長寿にあやかろうという人に人気だそう。御朱印は写真のような感じ(初穂料300円)で、こちらも多くの人が求めにくるそうです。
垂水神社の近くにある「雉子畷碑」にも行ってみよう
阪急の豊津駅から神社にお参りする途中に、「雉子畷碑」が建ちます。長柄といわれる場所に橋を架けようとしたが困難を極めたため、人柱を立てることになり、垂水に住む長者自らが犠牲となった。その後、長者の娘は嫁いだが、父を亡くしたショックで口をきかないので、夫に連れられ実家に帰されることに。その途中で雉が鳴く。声を手掛かりに夫は弓で雉を射った。それを見た娘が「ものいわじ 父は長柄の 人柱 雉もなかずば 射られざらまし」と詠んだ――そんな伝説です。「キジも鳴かずば撃たれまい」(意味は「よけいなことを言わなければ、災いを招かないですむ」)という言葉がありますが、それはこの伝説に基づいています。
垂水神社の基本情報
スポット名 | 垂水神社(たるみじんじゃ) |
社務所 | 午前9時~午後5時 |
アクセス | 阪急の「豊津駅」から徒歩約10分 大阪メトロ・北大阪急行の「江坂」から徒歩約20分 無料の駐車場あり(約10台) |
電話 | 06-6384-1526 |
住所 | 大阪府吹田市垂水町1-24-6【MAP】 |
URL | http://taruminoyama.starfree.jp/ |
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